CHEKCCORI通信 Vol.120 【チェッコリ店主 金承福より、一年の感謝を込めて】


2020.12.25

CHEKCCORI通信 Vol.120

http://www.chekccori.tokyo/

ごあいさつ

今年を締めくくるメルマガを送る時期になりました。
年のはじめには思いもしなかった大変な状況は相変わらず変わりませんが、
先の見えなかった1年で、あえて希望ある出来事を振り返ると……
今年は遠方の方々や外出を控えている方々と、
オンラインでたくさんの交流が実現できました。

また、これまで以上に多種多様な韓国書籍が翻訳出版され、
お店の中がいつも新鮮な雰囲気で包まれていました。
この1年間も、いつもチェッコリを気にかけてくださり、
感謝でいっぱいです。

また、木・金曜に店頭に立たせていただいていた私ですが、
年末で店長業務から離れることになりました。
1年数ヶ月の短い間でしたが、韓国書籍や韓国語を生活の一部とするみなさまと様々なお話ができ、
あまりにも濃い学びの時間でした。
お店のカウンターからは離れますが、引き続き、
どんどん広がる韓国文学をみなさんと一緒に人生の一部にして過ごしたいと思います。
ありがとうございました。
(木・金曜店長 さわだ)

お知らせ

年末年始休業のお知らせ

12月27日(日)~2021年1月11日(月・祝)まで休業とさせていただきます。
オンラインショップ(http://shop.chekccori.tokyo/)は稼働しておりますので、
こちらからぜひご注文ください。
ただし、発送業務ならびにご注文・お問い合わせメールへの対応は、
12月27日(日)~1月4日(月)までお休みさせていただきますので、
その点予めご了承ください。

第4回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」の応募は12月31日まで

現在開催中の第4回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」の応募受付は
12月31日(木)23:59までです。
http://k-book.org/transcompe/4thhonyaku/
準備を進めてきた方、ぜひご応募ください。

そして第5回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」は、
全体スケジュールが変わります。
例年よりも半年ほど前倒しで告知、応募となりますので、ぜひ今からご予定ください。
 課題作発表:2021年1月中
 応募締切 :2021年7月末
 選考期間 :2021年8月~9月まで
 結果発表 :2021年11月ホームページ等にて発表
 受賞式  :2021年11月中
 受賞作刊行:2021年12月末
募集要項、課題作は年明け1月中にはご案内予定です。

店長のおすすめ

きむ店主おすすめの小説

『초급 한국어』(初級韓国語)

主人公ムン・ジヒョクはニューヨークのある大学で初級韓国語を教える臨時韓国語講師である。
「アンニョンハセヨ」という挨拶の正確な意味を聞く学生の質問から始まって
実際の「初級韓国語」教材で出てきそうな韓国語の文章をモチーフに、
主人公「私」の物語が時間を超え空間を超えて広がる。

例えば、「名前を聞く」の章では自分の名前に関するエピソードと家族の関係が書かれている。
主人公の夢は小説を書くこと。アメリカで小説を書く移民作家が彼の夢である。
だが、講師の契約更新ができずアメリカにいられなくなる。

この小説を書いた作家の名前はムン・ジヒョク。作品の主人公の名前もムン・ジヒョク。
二人のムン・ジヒョクは韓国で大学を出てアメリカへ留学、韓国語の講師の経験がある。
そして小説家が夢である。
つまりこの小説は作家の自伝的小説ともいえるが、作家の言葉を借りると
“全ての小説は小説家の人生を「別名で保存」した結果物である”というので、
この小説を「自伝的小説」と断言ができない気がした。
韓国語を教えている人たちにおすすめしたい。

韓国語講師が主人公の小説、ソ・スジン著『코리안 티처』(コリアン ティーチャー)も 一緒に読んで欲しい。 http://shop.chekccori.tokyo/products/detail/2008
CHEKCCORI BOOK HOUSE で購入する

しみず店長おすすめの小説

『내가 말하고 있잖아』(僕が話してるじゃないか)

米国の新大統領バイデン氏は、子どもの頃から吃音に悩まされ、
中学の朗読の時間に先生にからかわれた経験があるそうです。
この小説の主人公である14歳の少年も、まったく同じ経験に苦しめられていて、
学校にも家庭にも居場所がなく、孤独な日々を過ごしています。
母親の勧めで吃音を矯正するための専門の教室に通いはじめますが、
なかなか思いどおりにはいかないし、教室の仲間も変な人ばかりで気に入りません。
そんな中、教室の仲間たちが抱える心の傷に触れ、少しずつ距離を縮めていきます。
仲間の存在が時には鬱陶しかったり、でも、そんな仲間の何気ない一言が力になったり……。
ぎこちないけど温かい、人と人との関係に慰められる長編小説です。
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ぱく店長おすすめの小説

『날씨가 좋으면 찾아가겠어요』(天気が良ければ訪ねて行きます)

イ・ドウの6年ぶり新作長編。
仕事を辞めたへウォンは、冬の間ペンションを営む叔母のもとで暮らすことに。
ひょんなことから隣の家に住む幼馴染ウンソプが営む書店で働くことになるのだが、
彼とその書店が、ソウルで磨耗したへウォンの心を不思議と癒してくれるのだった。
しかし間もなく、叔母や高校時代の同級生、両親との過去など、
いままで避けてきた問題が目の前に……。
へウォンだけでなく実はウンソプや他の登場人物にも辛い過去や現実があるのだが、
それに対して終始作者の温かい眼差しが感じられ、物語終盤の春が待ち遠しく感じられる。
すでに日本でも放送が始まったドラマの主演はパク・ミニョンとソ・ガンジュン。
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の店長おすすめの料理本

『KBS 황금레시피 플러스』(KBS黄金レシピプラス)

TV番組で紹介された人気店のメニューや料理研究家のレシピが紹介された料理本。
カルビチム、プルコギ、チャプチェ、カルチジョリムはもちろん、
ユッケ、ジャージャー麺、スンデポックムなど韓国の定番メニューをはじめとする
さまざまな料理がラインナップされています。
道具がなくてもできるスプーン計量法も載っていてレシピ通りにやっていけば、
誰でも美味しい韓国料理を作ることができます。
また、番組では紹介できなかった味付けの裏技も教えてくれます。
この時期だからこそ、気になっていた韓国料理に挑戦してみるのはいかがでしょうか?
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さわだ店長おすすめのエッセイ

『동백어 필 무렵』(椿の言葉咲く頃)

ドラマ好きな人なら、何度も視聴し、
大切に記憶している「人生ドラマ」があるかもしれない。
そしてその作品の中でも特に気に入っている台詞があるのでは。
本書は記者としてドラマを取材中に俳優としてキャスティングされ
現在は俳優兼作家として活動する著者が、
韓国で愛される25本のドラマを厳選。
作品内で放たれる印象的な言葉を、
登場人物の人間性の分析や、背景にある社会情勢と結びつけながら紹介する。
韓国で熱狂的なファンが続出した『チェオクの剣』(原題:다모)や
『コーヒープリンス1号店』『私の名前はキム・サムスン』など
日本でも人気を博した2000年代の作品のほか、
『椿の花咲く頃』『ストーブリーグ』といった新しい作品まで熱く語る。
一度観たドラマも、この本を読むとまた新たな視点で見直したくなるはず。
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ミニコラム

できなかったことよりもできたことが多かった一年でした

2020年は「文学で旅する韓国—木浦・黒山編」の下見から始まりました。
風光明媚な島々、島に吹く風にさらされて生まれる特産物の干物、
自分のものを惜しげもなく人と分かち合いたい地元の人たちの情。
自分の故郷でもあり、張り切って金承福の全羅道を皆さんに見せたかったです。
どうか来年には行けますように!

2月には大人数のイベントに備えてチェッコリ店内を広くし、
備え付けのプロジェクターやスクリーンを新調するなど、ちょっとしたリニューアル工事をしました。
が、コロナの出現でそのスクリーンをしばらく下ろすことができませんでした。

4月、5月の緊急事態宣言期間中、リアル店舗はお休みしましたが、
ネット注文は通常より多くて私は毎日出勤。
応援の気持ちでまとめ買いをしてくださったお客さんの温かさを感じました。
トイレットペーパーや食品の買い占めばかりが報道されていましたが、
本屋で大人買いをした人の多かったことを、本屋の店主はみた!のです。

クオンでは今年23冊の本を刊行しました(うち3冊は電子書籍)。
いつもは年10冊程度のペースでしたが、オフラインイベントや韓国出張がなくなったことで
本を作る時間が増えたおかげです。
今年刊行した本のなかから、特に印象的だったものをご紹介します。

韓国・大邱が新型コロナウイルスの感染拡大で大変な状況になっていたことを
ニュースで見聞きしていましたが、
昨年「文学で旅する韓国—大邱編」でお世話になった出版社の學而社(ハギサ)が、
地元の一般市民や医療関係者によるコロナ体験記を出したことを知り、
クオンで緊急翻訳しました。
たくさんの翻訳者さんの力を借りて2冊の本を1ヶ月で作り上げることができました。
電子ブックを先に作って後で紙の本にしていく、今までやったことのないこともできたのです。
http://shop.chekccori.tokyo/products/detail/1755
http://shop.chekccori.tokyo/products/detail/1756
6月には大邱の関係者とオンラインで繋ぎ刊行記念イベントもしましたね。
コロナで失ったものも多いですが、逆に得たものも多かったです。

実は緊急出版したものがもう一冊あります。
多国籍アンソロジー詩集『地球にステイ!』。
詩人の四元康祐さんと翻訳家の吉川凪さんの力を借りて世界の詩人56人に、
このコロナ禍をどうみているのかを書いてもらいました。
5月の半ばに原稿依頼をし、日本語以外に様々な言語で届いた詩を訳して、
9月に一冊の本にまとめました。
http://shop.chekccori.tokyo/products/detail/1852
この詩集は『지구에서 스테이』のタイトルで11月に韓国でも翻訳出版されました。
世の中に「緊急」が流行った一年でもありましたね。

そして11月末には2回目となるK-BOOKフェスティバルを開くことができました。
読者と本を作る人をつなぐブックフェスなので、企画当初から韓国の作家・デザイナーと
オンラインで繋いだプログラムを数多く企画していました。
オフラインでも開催できるかどうかはオリンピック開催可否をみて決めようと話していましたが、
結局オリンピックは来年に延期になり、K-BOOKフェスティバルは全てオンラインで
開催することになりました。

イベント終了後、参加してくださった読者、出版社、登壇者の皆さんはもちろん、
ポップアップショップの本屋さんからも、来年もぜひ開催してほしいというメッセージを頂きました。
本当に嬉しい。どんな言葉より嬉しかったです。
みんなを巻き込んでやる仕事はちょっとしんどい時もありますが、
最後に「みんなで一緒にやってよかった」と感じられるこの瞬間が本当に最高です。

こうやって2020年を振り返ってみると、できなかったことよりもできたことが多かった一年です。
チェッコリを応援してくださったお一人お一人に感謝しています。
今のこの感謝の気持ちを忘れずに2021年を迎えたいと思います。

来年の夢は来年また語りますね。
ヨロブン、本当にありがとうございました。
(チェッコリ店主 金承福)

イベント情報

1月12日 (火) 19:30 – 21:30ト
【オンライン】2021年、K-カルチャー(映画、ドラマ、音楽、食、文学)大予想!

2021年、チェッコリイベント第1弾は、豪華メンバーでお届けします。
大いに盛り上がったK-カルチャーを映画、音楽、食、文学の各分野のプロたちをお招きして、
2020年を振り返りつつ、2021年を大いに予想していただきます。
登壇はライター・翻訳者の桑畑優香さん、音楽ライターのまつもとたくおさん、
コリアン・フード・コラムニストの八田靖史さん、チェッコリ店主&クオン代表・金承福です。
http://www.chekccori.tokyo/my-calendar?mc_id=737

1月22日 (金) 20:00 – 21:00
【オンライン】キソカン先生の『やさしい基礎韓国語』活用術

累計1万部を超える人気の韓国語入門書『やさしい基礎韓国語』の著者、キソカン先生こと秋山卓澄さんをお招きし、
これまでどのように韓国語を学んできたのか、そしてそれを踏まえてどんなところに気をつけてこの本を書かれたのかなどを
お話いただき、
後半では『やさしい基礎韓国語』の中から、つまずきやすいポイントを解説いただきます。
http://www.chekccori.tokyo/my-calendar?mc_id=742

1月26日 (火) 20:00 – 21:00
【オンライン】クオン読書クラブ―第1回『仕事の喜びと哀しみ』

クオンの本について読者の皆さんと語り合う時間を持ちたいと、
2021年は新たに「クオン読書クラブ」を発足します。
クオンから刊行される本をぜひ一緒に楽しんでください。
記念すべき第1回は『仕事の喜びと哀しみ』(チャン・リュジン著、牧野美加訳)です。
翻訳者である牧野美加さんに釜山からご参加いただき、作品の魅力に迫ります。
2020年「書店員が選ぶ今年の本」小説部門に輝いた話題作を早速日本語で楽しみましょう。
※申込ページから書籍付き参加券もあります
http://www.chekccori.tokyo/my-calendar?mc_id=741

1月28日 (木) 20:00 – 21:30
【オンライン】ささきの部屋vol4~
HANAのとんそく子さんこと浅見綾子さんに聞く、忙しい人の韓国語勉強法~

宣伝広報担当のささきがゲストをお招きしてお話を伺う「ささきの部屋」の第4回は、
韓国語学習者に絶大なる人気を誇る韓国語ジャーナルhanaの編集長、
とんそく子さんこと、浅見綾子さんをお招きします。
編集長になって1年あまり、そのお仕事話に加えて、普段韓国語をどんな風に勉強しているのかや
ハン検合格までの道のりなども詳しく語っていただきます。
http://www.chekccori.tokyo/my-calendar?mc_id=738

1月29日 (金) 20:00 – 21:00 【オンライン】チェッコリ映画クラブ―第6回『KCIA 南山の部長たち』

2021年も話題作の公開が続く韓国映画から、新年1回目、通算6回目となるチェッコリ映画クラブでは、
『KCIA 南山(ナムサン)の部長たち』についてみんなで語り合います。
ゲストに映画の公式パンフレットのコラムや字幕監修を手掛けられた
明治学院大学名誉教授の秋月望先生にもご参加いただき、より深く映画の世界についてお話しいただきます。
http://www.chekccori.tokyo/my-calendar?mc_id=739

おしまいに

2020年、思いもかけない一年となりましたが、みなそれぞれに精一杯頑張りましたよね。
本当にお疲れさまでした。
そして多くの方への感謝も感じた年でした。
本当にありがとうございました。

きっと2021年はいい年になります。いえ、いい年にしていきましょう!
(宣伝広報担当 ささき)