※満席となりました[チェッコリ大学]韓国映画から学ぶ韓国現代史

1つのテーマを複数回にわたってお届けするスペシャル講座「チェッコリ大学」です。
クォン・ヨンソク先生による「韓国映画から学ぶ韓国現代史」講座です。

 

<講義概要>

韓流および近年の韓国の文化力/ソフト・パワーの中心に、韓国映画の存在がありました。その韓国映画は、今年100周年を迎えました。この節目の年に、ポン・ジュノ監督の『寄生虫』がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、記念碑的成果を収めました。なぜ、韓国映画は世界から評価されるのでしょうか? 韓国映画の躍進の背景には何があるのでしょうか? そこには、韓国独特の歴史的体験があります。
韓国は近代には日本による植民地支配を経験し、戦後は冷戦の最前線として「熱戦」と軍事独裁政権を経験し、今なお「分断体制」の下にあります。このような暴力と抑圧の歴史のなかで、韓国の市民は経済成長と民主化を達成し、21世紀に入ってからは文化・スポーツ大国となり、平和と共生と地域主義を志向するミドルパワーとして、世界史においてユニークな存在となりました。このような歴史的構造と体験が、韓国映画に豊富な題材とインスピレーションを与え、問題意識を涵養する土壌になったといえるでしょう。いわば、韓国映画には悲惨な歴史体験と痛烈な矛盾とそれらを克服した歴史いう、アドヴァンテージがあるのです。
本講義では、このような激動の韓国現代史について、韓国映画を通じて学ぶとともにその普遍的意義について考えることを目的とします。大きく、①朝鮮戦争と南北分断体制、②日本イメージと日韓関係、③韓国の民主化とキャンドル革命という、三つのテーマを設定しました。これらの三つのテーマに関連する韓国映画を通じて、韓国現代史および日韓関係を理解していけたらと思います。もちろん、これらのテーマについてそれぞれ1回で扱うことは、イントロダクション的位置づけになってしまうことはご了承ください。
ですので、韓国現代史について、韓国映画について基礎知識がなくても参加可能です。K-POPや韓流ドラマは接してきたが、韓国映画については深く知らず、韓国現代史についてもよくわからないけど関心はある、という方向けの入門的な講座として位置づけます。一歩先の韓国や歴史について、理解と関心が深まればと思います。韓国映画や韓国現代史について、「中上級者」の方においては、この場面でのこの言動のもつ意味とは何かについて、意見交換をするなど、一歩踏み込んだ理解につながるようしたいと思います。

<講義内容>

①9月20日(金) 韓国映画から見る南北関係と「分断体制」

朝鮮戦争映画を通じて、朝鮮戦争とはいかなる起源と特徴をもつ戦争であるのか理解し、朝鮮戦争映画の変遷についても考察します。次に、韓国映画における北朝鮮イメージの描かれ方の変遷をたどりながら、南北関係の推移と今の「新韓半島体制」についても考えます。
主要課題映画:『太白山脈』、『ブラザーフッド』、『トンマッコルへようこそ』、『シュリ』、『スパイ・リーチョルジン』、『JSA』、『シークレット・ミッション』『ベルリン・ファイル』、『コンフィデンシャル 共助』、『鋼鉄の雨』など

②10月18日(金) 韓国映画から見る日本/日本人イメージと日韓関係

韓国映画において、日本および日本人はどのようなイメージとして描かれてきたのか。また、日韓の関係史についてはどのようなテーマと解釈とアプローチがなされてきたのかについて考察します。近年、植民地期を舞台にした映画や、日本との歴史問題をダイレクトに描く映画が増えています。その背景と波及効果について分析しつつ、映画と政治・外交について考えてみたいと思います。
主要課題映画:『ミョンリャン』、『暗殺』、『密偵』、『空と風と星の詩人 尹東柱(ユンドンジュ)の生涯』、『朴烈』、『言葉集め(マルモイ)』、『I Can Speak』、『Her Story』など

③11月29日(金) 韓国映画から見る「民主化運動」 ←講師の都合により日程が変更になりました。ご了承ください。

韓国の民主化運動とその勝利ほど、映画の題材として適したものもないかもしれません。その勝利の体験が、近年のキャンドル革命へとつながりました。その過程で映画が果たした役割も大きかったといえます。講義では、韓国現代史における「光州」の意味、1987年の「6月抗争」、近年の「キャンドル革命」について学びたいと思います。また、民主化運動に限らず、広く社会の暗部と矛盾をえぐる「社会派エンターテインメント」についても、紹介しながら、民主化運動について語らいと思います。
主要課題映画:『グエムルー漢江の怪物』、『光州5.18』、『弁護人』、『タクシードライバー』、『1987』、『盧武鉉です』、『共犯者』、『南営洞1985』、『地球を守れ』、『内部者たち』など

 

<講師プロフィール>

yongseok

クォン・ヨンソク(権容奭)
一橋大学大学院法学研究科准教授。ポップカルチャーに強い国際政治学者。1970年、韓国・ソウル生まれ。子供の頃から父親の仕事の都合で日韓を行き来し、日韓の境界人として生きている。専門は東アジア国際関係史。
著書に『「韓流」と「日流」――文化から読み解く日韓新時代』(NHKブックス)、訳書に『イ・サンの夢見た世界――正祖の政治と哲学』(上・下、キネマ旬報社)など。

 

<講義日程>

■日時:2019年9月20日(金)、10月18日(金)、11月29日(金)各19時~21時
■受講料:各回2500円 ※3回券はまとめて7000円
■定員:20名

⇒ 満席となりました

 

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