韓国文学史約120年を60分でふり返ってみた!

3月23日(木)、待望(でしたよね?)の当店店主で出版社クオンの代表金承福(キム・スンボク)による第1回「金承福と一緒に韓国文学を楽しもう!」を開催しました。
ありがたいことに、店内満席となる盛況ぶりに珍しく(?)緊張気味のキムでした。

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さて、今回は韓国語学習ジャーナルhanaのVol.4「韓国語の本を楽しむ」特集の中でも紹介した「10分で読める韓国文学史」を元に、紙面では解説しきれなかった細かな点を付け加える形で進められました。

ここでは各年代ごとに紹介された代表作家と作品をいくつか紹介しておきます。

【開花期(1894年~)】
・李光洙(イ・グァンス)~韓国近代文学の父と呼ばれている
代表作『무정(無情)』など。李光洙研究の第一人者、波田野節子さんの『李光洙―近代文学の祖と「親日」の烙印』はオススメです。
・尹東柱(ユン・ドンジュ)が生まれる。今年生誕100周年。

【1920年代(日韓併合の影響を受ける)】
・김소월(キム・ソウォル、金素月)~『진달래꽃(ツツジの華)』を韓国語(キム)と日本語(五十嵐真希さん)で朗読。

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【1930年代】
・정지용(チョン・ジヨン=鄭芝溶)~翻訳家でもある吉川凪さんによる論文はじめ、多くの博士論文に登場する作家だが、当時は北に渡ったことにより、1988年の開放以前には名前を口にすることすらできなかった。
・이상 (イ・サン=李箱)~詩人でありながら小説も書き、評論家としても活躍した稀有な存在。
・백석(ペク・ソク=白石)~その詩の中に多くの食に関する記述が出てくることから、多くの料理研究家に好まれる作家でもある。

【1940~50年代(朝鮮戦争勃発により、再び文学界が停滞した時期)】

【1960~70年代(分断文学、独裁政治に対する抵抗手段となった文学)】
・김지하(キム・ジハ=金芝河)~韓国の軍事政権に戦った抵抗詩人として多くの読者から尊敬されてきたが、李 明博、朴 槿恵政権に入ってから思想が変わったことで再び話題になった。
・신경림(シン・ギョンリム=申庚林)~韓国ではみんなが知っている有名な詩人なのであまりに日本で知られていないことに驚いたそうだ(キム談)。
・조세희(チョ・セヒ=趙世煕)~最近日本でも翻訳出版(『こびとが打ち上げたボール』)された韓国のロングセラー小説を生んだ。

【1980~90年代(詩がとにかくよく売れた)】
・도종환(ト・ジョンファン=都鍾煥)~200~300万部のミリオンセラーを生んだ詩人。
ノートや絵はがきなどに有名詩人たちの詩がイラスト付きで商品化された。詩が日常の中にあった。

【2000年代以降(楽しい文学になった!)】

韓国の文学界もまた、時代に翻弄され続けてきたが、やはり2000年代に入り、個人の考え方や感覚を描く「明るくて楽しい」文学の世界に突入したそうです。
そしてそのことを知ってもらうために、出版社クオンを立ち上げ、2000年代以降の作品を中心に「新しい韓国の文学シリーズ」として誕生させた、というキム。

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「うん、我が店主ながら、カッコいいわ」、と照れくさいですが、ちょっと感動。

第2回にはそのあたりの思いや、一作目に選んだハン・ガン著『菜食主義者』についてなど話しをより掘り下げていく予定です。
5月31日(水)をぜひまたお楽しみに!

(宣伝広報担当 ささき)