「玉ねぎ」を横向きにして乗り越える!ー第3回金承福と韓国文学を楽しもう!レポート

9/28(木)、第3回金承福と韓国文学を楽しもう!を開催、この日のテーマは「ハン・ガンを学ぶ」と題して行われました。

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2016年『菜食主義者』でマン・ブッカー賞を受賞し、今年は『少年が来る』でイタリアの文学賞も受賞するなど国際的にも評価を得ているハン・ガン。
クオンで「新しい韓国の文学シリーズ」を出そうと決めた時、何を一作目にしようかと考えた時に、文学性も高く、今まで日本で紹介されてきた韓国文学とはひとあじ違い、インパクトのある作品をと考えた時に『菜食主義者』が浮かんだそうです。
出版するにあたっては装丁でも、韓国をあまり意識させないものにしたかった。そして装丁は寄藤文平さん事務所に依頼したところ、あの印象的な「玉ねぎ」がモチーフのデザインが上がってきたそうです。
それをハン・ガンさんに見せると韓国版でも使っている絵を使って欲しいと言われたそう。
でもなんとしても日本でのデザインはこれで進めたいと思ったキムは、当初「玉ねぎ」が上向きであったものを横に寝かせたものにして”変更はしました!”とメールを送り、出版したそうだが、これに関しての返事はまだもらっていないのだとか。
これを押し切るキムのパワーが、今も装丁で評価いただくことが多いこのシリーズを生んだのかと思うと、さすが!と言いたくなります。

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この作品を発表して紀伊国屋書店の方が「韓国文学の世界観が変わった」と言ってもらえたことは嬉しいかったとのこと。
ハン・ガンさんは1970年光州生まれで、父は同じく作家のハン・スンウォンさん。幼い頃から本に囲まれた生活をし、延世大学国文学を専攻、1995年詩人として作家デビュー。
小説を始め、エッセイや詩まで幅広く創作を続けるハン・ガンさんが、歌を歌っていた、という話に驚くの声があがり、エッセイ集『가만 가만 부르는 노래』収められていたハン・ガンさんの落ち着き、少々憂いを含んだ素敵な歌声を聞かせもらいました。
そしてこのエッセイ集を来年、2018年「新しい韓国の文学シリーズ」で第18弾で出版する、とその場で発表が!
皆さんも驚いたでしょうが、私ももっと驚きました!(他の作品と聞いていたので、予想外で)
クオンの『少年が来る』に続き、10月には晶文社「韓国文学のオクリモノ」シリーズの第1弾として『ギリシャ語の時間』に続いての発行され、大変多くのファンを掴んでいるようです。
チェッコリで絶賛発売中です。
噂によると、もう一社ハン・ガンさん作品を翻訳出版されると聞いています。
来年の目標に、ハン・ガンさんを日本に呼ぶ、というのも一つ加えてみましょうかね。
(宣伝広報担当 ささき)