いわいあや写真展「はじめての済州、それから」開催のご案内

3月19日(火)から4月20日(土)まで、いわいあやさんの写真展「はじめての済州、それから」を開催します。
身のまわりの人やものを撮影し、主に雑誌、広告、映像制作を中心に活動するいわいさん。
今回の写真展では、初めて訪ねた韓国・済州を中心に撮影した約30点を、いわいさんが書いた詩とともに展示します。
展示のテーマにまつわる書籍も販売予定です。

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<写真展概要>
開催期間:2024年3月19日(火)~4月20日(土)営業日・営業時間内
会場:CHEKCCORI店内

<プロフィール>
いわいあや
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1982年生まれ。福岡県出身。中央大学文学部史学科卒業。 会社員を経て、パオラスタジオ勤務後、小林康仁氏に師事。 2014年からフリーランスに。雑誌、広告、映像制作を中心に活動中。おもに、身のまわりの人やものを撮影。

<写真展に寄せて>

わたしの、それから   いわいあや

はじめての済州。
福岡から釜山に乗り継ぎで済州へ、飛行機で渡る。
済州国際空港の足元の惨劇、
飛行場のコンクリートの下には、
たくさんの遺骨がまだ埋まっている。
そのため、済州には飛行機で行かず、フェリーで行く人もいる。
わたしはそう思い返しながらタラップを降り、地面を踏みしめた。

わたしは日本人。
四・三事件のこともつい最近知った。
何も知らなかったし、知らないことを恥じていなかった。
飛行場を歩きながら、恥ずかしかった。

済州は観光地の輝きを放っていた。
問われ続けていた。

海辺の四・三事件の慰霊碑に刻まれた、
ハングルの美しい文字。
Google翻訳で文字変換して、日本語で読む。
スマホの画面には入りきれない、
たくさんの名前、名前、名前・・・。

わたしの手の中に、ずっとある気がしている。
海で拾った、貝殻のようなもの。

何度繰り返すんだろう。
何から話したらいいんだろう。

済州四・三平和記念館。
ダランシュ特別展示館(다랑쉬 특별전시관)。
そこにあったのは、
悲惨な状況でも、
過酷な現実でも、
家族みんなで
食事を共にしようとする姿。
ただただ、握り絞るよう捻り出された、
あたりまえを求めた暮らし。
必死な、おだやかな日々。
あなたとの毎日。

京都のウトロ地区の放火現場に
夏野菜を植えたオモニ。
もうそこはない。
夏野菜もない。
だけど、
一緒に食べて、話そう。
わからない、そうよね。
ともに学ぼう。
すぐそこにあるよ。

それから。
それから、つなげていくのは、わたし。
わたしがしてこなかったこと。
貝殻のように、つながっている。

群馬の森はカラスがたくさん飛んでいた。
そこかしこからカラスが帰ってくる森だそうだ。
写真を撮っていると、カラスたちの声がこだまして、異世界に迷い込んだ気がした。
そして、済州の山の中で見たカラスたちを思い出した。
二つの場所は深いところで繋がるようになっているのだろうか。