韓国探偵小説の父、金来成の探偵小説から読むモダン京城
「クオン人文・社会シリーズ」の第3弾『ケータイの文化人類学―かくれた次元と日常性』の作者である金暻和(キム・キョンファ)さんが、韓国探偵小説の父、金来成の作品から1930年代の京城(現在のソウル市、日本統治時代の行政区域)をふり返っていただくトークイベントです。
暻和さんのトーク後には、翻訳家・吉川凪さん、シンガポール・ナンヤン理工大学助教授の李玹定(イ・ヒョンジョン)さんにも登場いただき、さらにお話を弾ませていただく予定です。
<イベント内容>
「韓国探偵小説の父」、金来成(キム・ネソン)は、江戸川乱歩に憧れて探偵小説を書きはじめ、1930年代に日本の『ぷろふいる』誌を通して作家としてデビューを果たしました。時代風景や文物を克明に描写した彼の作品を読むと、当代の都市の姿が生々しく蘇ります。今回は、近年日本で再出版された、金来成の長編探偵小説『思想の薔薇』(日本語原作1935年、韓国では1954~1956年雑誌『新太陽』に連載)をもとに、近代的な都市として発展していた1930年代の京城の都市風景を振り返るという、ちょっとユニークな企画です。
金暻和さんのトーク後に、戦前の日韓知識人の交流について研究をなされている翻訳家の吉川凪さんと、時代の表象として京城駅の研究に努めている李玹定さんにも登場していただきます。
<講師プロフィール>
金暻和(キム・キョンファ):メディア研究者(学際情報学Ph.D.)。韓国で新聞記者、ポータル・サイトの事業開発担当を経て来日し、オーマイニュース日本法人の取締役を務めた。様々なメディア現場での実践経験を通じて研究への気持ちが膨らみ、東京大学際情報学府で修学した。現在は神田外語大学でメディアと情報社会について教えている。著書に、『세상을 바꾼 미디어(世相を変えたメディア)』、『ケータイの文化人類学』など。
<ゲスト>
吉川凪:韓国仁荷大学国文科大学院で韓国近代文学を専攻。文学博士。翻訳家。訳書に『耳を葬る』『都市は何によってできているか』など多数。また著書『京城のダダ、東京のダダ』では、高橋新吉ら大正の世に生きた彼らと、韓国文学史上唯一のダダイストの交友の軌跡から、その鮮烈な青春のきらめきをエピソード豊かに描いている。
李玹定(イ・ヒョンジョン):シンガポール・ナンヤン理工大学英文学科助教授。演劇や文学、大衆文化などについて幅広く研究を進めている。著書に『Performing the Nation in Global Korea: Transnational Theatre (Palgrave Macmillan, 2015)』のほか、カルチュラル・スターディズ分野の学会誌に多数の論文を掲載している。
<イベント概要>
■日時:7月1日(金)19:00~20:30
■参加費:1500円(ワンドリンク付き)
■定員:30名