吹き替え翻訳は女優の仕事に似ている!
3月9日(木)映像翻訳家の本田恵子さんによる「映像翻訳講座第2弾「吹き替え翻訳 って何?」が開催されました。
映像翻訳には、字幕翻訳と吹き替え翻訳があります。そしてそれはまったく別の作業になるものの、韓国映像業界では両方ができなくてはならないそう。
その違いはというと、字幕翻訳は役者の言葉を訳して一定の決まりの中で視覚的に視聴者に届けるが、吹き替え翻訳は脚本を作るような作業だということ。
また字幕作業は一人で翻訳作業をして修正指示をもらうことはあっては基本的に一人で完結していくが、吹き替え翻訳は脚本をもってアフレコの現場にも立ち会うことも多く、スタジオでディレクターの指示で時には言い回しなどを変更していくことなどもあり、比較的多くの人と関わって作り上げていくそうです。
吹き替え翻訳の三大要素は、尺合わせ、リップシンク、ブレス。役者さんの話している時間に合わせ、言葉を発する口の動きに合わせる、どこで息をしているかも重要だとか。
脚本を作るので、さまざまな「音」に関する指示は全て入る。そのため書く量的には字幕の3〜4倍あり、その分(?)ギャラも高いそうです。
この日はnetflixでも配信されている「猟奇的な彼女」のワンシーンを字幕、吹き替えの両方で見せていただきながらその違いを学びました。
写真の脚本が吹き替え用のもの。本当に細かい音楽の入りまで指示がありました。
そして吹き替え翻訳の特徴は必ず「音読」することだそう。セリフを実際に喋ってみて尺に合うかどうかなどを確認しているとのこと。それでも実際に声優さんが読んだ不都合が出て変更も出てくるので、削れるくらいちょっと長めに訳しておく方がよく、足りないと追加していく方が大変だからだそうです。
最後に翻訳にあたって一番大事なことは、どれだけストーリーにのめり込めるか、どれくらい登場人物の心情に入っていけるかが重要だと。
ある方が「女優の仕事と似てるわよね」とおっしゃったそうです。
そして普段から言葉や人の喋り方などもよく観察しておくこと、と仰っていました。さまざまなキャラクターに言葉を載せなくてはいけないので、その引き出しは多い方がいいということですね。書籍翻訳にしろ、映像翻訳にしろ、そういう「言葉」に関するアンテナは常に大事なのでしょうね。
つい韓国の映画やドラマは字幕で見てしまいますが、違う発見のある吹き替えもちょっと見てみたくなりました。
今回も映像見せていただいた「netflix」ではそれぞれ選んで見ることができるのだとか。そして続々と独占公開のものもあります。
ちょうど明日から本田さんが翻訳を担当された映画『パンドラ』も独占公開されるとのことですから、この映画もぜひご覧くださいね。
(宣伝広報担当 ささき)