続きが気になってしょうがないストーリー展開、愛憎渦巻く平沙里の人々。

5月のチェッコリ読書会を開催しました。課題本は『土地 完全版』第2巻です。

第1巻の読書会と同じく、翻訳者である吉川凪さん、清水知佐子さん、編集を担当された藤井久子さんもお越しくださいました。

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第1巻は登場人物の説明描写が多かったのですが、第2巻ではようやく物語が動き始めます。
参加者からは、「ストーリーが早く展開して複雑になっていきながらも、描写が細かく丁寧に描かれていると思った」、「実際の歴史的事件を背景にしているので、フィクションではなく本当に起こったドラマ、実話のように感じられる」、「感情表現が豊か。好き、嫌いの感情が激しく、こちらが疲れてしまうくらい」などの感想が語られました。第1巻の読書会も参加された方が、自作のイラスト付き人物相関図を披露してくださり、『土地』の楽しみ方のひとつを味わいました。

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また、儒教社会における女性の立場や韓国文学におけるムーダンの描かれ方などについて、盛んに意見交換が行われました。

 

第2巻の翻訳を担当された清水さんは致修の哀れさについて、第1巻、第3巻を担当された吉川さんからは、身分違いの恋や三角関係など愛憎渦巻く平沙里の人々のドラマは、続きが気になってしょうがなくなり、3巻まで読めば20巻の最後まで読まざるを得なくなると、『土地 完全版』の魅力を語ってくださいました。「全20巻と聞いて、最後まで読める自信がなかったけれども、読めるような気がしてきました」と言う参加者もいました。

 

『土地』には、蟾津江がゆったりと流れる平沙里の美しい景色をはじめ、自然描写も多くありますが、激しい人間ドラマの中の自然描写には心を癒してくれるものがあると、編集の藤井さんは語ってくださいました。

 

4月末に第3巻が刊行されたばかりですが、第4巻、5巻が今年11月25日に同時刊行される予定だそうです。第3巻では人間関係が大きく変わります。第4巻、5巻もますます楽しみです。

 

次回は6月27日(火)19時から、課題本は、金仁淑の短編小説集『アンニョン、エレナ』(和田景子訳 書肆侃侃房)です。世界には同じ名前で呼ばれるたくさんのエレナがおり、そのエレナたちを思いながら自分の人生を探す表題作の「アンニョン、エレナ」、すべての幸せを手にしたかに見えながらも揺れ動く心情を抱えて生きる女性の物語「ある晴れやかな日の午後に」など7作品が収載されています。

(CEHKCCORI読書会モデレーター 五十嵐真希)