出版社6社合同 韓国文学フェア「原書」特集

ここ数年、バラエティに富んだ韓国文学の邦訳を書店で見かけるようになりました。

クオンの「新しい韓国の文学」シリーズのように、複数の邦訳をシリーズとして刊行する動きもみられ、韓国の作品が外国文学の一つとして身近な存在になる日も近いのではという期待が高まります。

こうした動きをさらに盛り上げるべく、韓国文学の邦訳を刊行した出版社6社が、他社の作品のPOPを手書きで作成するという企画が持ち上がり、先日18のPOPが完成しました。今日はその中からいくつか選んで、原書をご紹介したいと思います。
韓国語の学習も兼ねて、原書と邦訳を読み比べてみてはいかがでしょうか。

 

◇<韓国文学のオクリモノ>シリーズ1
『희랍어 시간』(ギリシャ語の時間)

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『菜食主義者』で一躍有名になったハン・ガンさんの作品です。話せなくなった女が失われた言葉を取り戻すために古典ギリシャ語を習い始める一方で、講師の男は次第に視力を失っていき……。ふたりの出会いと対話が静謐な空間に広がっていきます。

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◇<韓国文学のオクリモノ>シリーズ3
『달려라, 아비』(走れ、オヤジ殿)

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母の妊娠を知って逃げた父親、遊園地に子どもを置き去りにした父親、家庭崩壊のきっかけとなった父親。家父長制の崩壊や人間の弱さ脆さを時にユーモラスに、時に切なく描いた9編の短編集です。

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◇<韓国文学のオクリモノ>シリーズ4
『아무도 아닌』(誰でもない)
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恋人を亡くした老婦人、未来に絶望する若者など、日々を必死に生きる人々の「誰でもない、あなただけの物語」が綴られた短編集です。著者のファン・ジョンウンは韓国で最も期待される若手作家の一人。来月には同じく斎藤真理子さんの訳で、長編小説『野蛮なアリスさん』が河出書房新社より刊行されます。

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◇「韓国女性文学」シリーズ1
『안녕,엘레나』(アンニョン、エレナ)

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表題作の冒頭、秋になったら旅立つ友人に向かって「異母姉妹のエレナを探してほしい」と頼む私。友人を介してエレナを探す旅は、遠洋漁船に乗っていた亡き父の人生をたどる旅だった……。平凡な女性たちの決して平凡でない生き方を描いた短編集です。

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◇「韓国女性文学」シリーズ2
『우아한 거짓말』(優しい嘘)

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明日を迎えるはずだったチョンジが、今日、死んだ――。自ら命を絶った妹の死の真相を探っていた姉は、チョンジが壮絶ないじめに遭っていたこと、チョンジが残して逝った赤い毛糸玉の中に大切な人、自分をいじめた人たちへのメッセージが入っていることを知ります。赤い毛糸玉はすべて見つかるのでしょうか。

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◇「韓国女性文学」シリーズ3
『7년의 밤』(七年の夜)

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7年前に起きた事件により、殺人犯になってしまった父親。息子であることが世間に公表され、親戚からも見捨てられた僕。「父親は本当に殺人鬼だったのか?」 7年前のあの夜と現在を行き来しながら、物語は事件の真相に向かいます。チャン・ドンゴン主演で映画化されており、2018年に韓国で公開予定とのことです。

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◇第1回 日本翻訳大賞受賞作
『카스테라』(カステラ)
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一瞬、頭の中が「???」になるモチーフには、どれも「民主化運動」「格差社会」「就職難」「若者の貧困」といった社会問題に対する悲しみや諦念が込められています。それらをクスッと笑えるユーモアであたたかく包み込んだ短編集です。

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◇世界に「あちゃー」された男子中学生の物語
『핑퐁』(ピンポン)
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いじめられっこの男子中学生「釘」と「モアイ」。卓球をしているときだけは嫌なことや世界を忘れられると熱中しますが、いつの間にか「ネズミ」と「鳥」と卓球の試合をすることに。勝った方に人類をインストールしたままにしておくのか、アンインストールするのか、選択権があるというのですが……。

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◇都市化が進む1970年代の韓国を描いた物語
『난장이가 쏘아 올린 작은 공』(こびとが打ち上げた小さなボール)

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1970年代のソウルの貧民街を舞台に、住民を強制退去させて進められる都市再開発、尊厳を無視した労働環境など、苛酷な時代を生きる人々の姿を描いた祈りの物語。四半世紀にわたり読み継がれている韓国の大ベストセラーです。

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◇「新しい韓国の文学シリーズ」11
『도둑괭이 공주』(野良猫姫)
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ソウルの街角で野良猫の世話をしているファヨルは二十歳の女の子。父親の失踪に続き、母も単身渡米してしまったけれど、ファヨルはコンビニでアルバイトをしながら野良猫や猫を介して知り合った人たちとともに生きていきます。自分らしい生き方とは何かを考えさせる作品です。

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◇「新しい韓国の文学シリーズ」14
『원더보이』(ワンダーボーイ)
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父親の運転するトラックで事故に遭った少年。一命をとりとめて病室で目覚めると、人の心の声が聴こえるようになっていました。超能力者になった彼の存在と能力は、やがて軍部に政治利用されるようになります。軍事独裁政権に散った民衆の命、遺された人々の哀しみと未来を描いた作品です。

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◇「新しい韓国の文学シリーズ」16
『아오이 가든』(アオイガーデン)

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背筋がぞわぞわして、しんと冷たい恐怖に包まれる短編集です。マンホールで暮らす子ども、妻とおぼしき遺体など、「永遠に続く平和などない――」という帯文がリアルに迫ってきます。前半と後半でガラリと作風が変わるので、そちらも楽しんでみてください。

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