CHEKCCORI通信 Vol.170【あなたのための選書サービス「CHEKCCORI BOOK倶楽部」始めます】
CHEKCCORI通信 Vol.170 http://www.chekccori.tokyo/
ごあいさつ
最近、対面のイベントがぐっと増えましたね。
3月11日(土)は、チェッコリともご縁の深い翻訳家のきむ ふなさんによる講演会「世界探訪#6 韓国の文学」が東京・豊島区のあうるすぽっとで開かれます。
https://www.toshima-mirai.or.jp/tabid216.html?pdid1=2792
韓国の詩や小説を楽しむために知っておきたいキーワードをもとに数々の作品を紹介されるとのこと。
韓国文学の魅力を探しに出かけませんか。
当日、会場ではチェッコリの出張販売もありますよ。
お知らせ
選書サービス「CHEKCCORI BOOK倶楽部」スタート
「韓国語で本を読んでみたい。でも、何から読めばいいかわからない」ーー。
そんなみなさんのために、選書サービス「CHEKCCORI BOOK倶楽部」を始めます。
詳細はこちら
イベント情報
2月23日(木、祝)19:00~20:00
【オンライン】ささきの部屋Vol.28-落ち込んでも手は止めない!アラちゃんさんに聞く通訳翻訳大学院合格への道
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2月25日(土)18:00~19:30
【オンライン】『作家主義 韓国映画』からイ・チャンドン、チャン・リュル、ホン・サンスを語る
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2月28日(火)19:00~20:30
【オンライン】『韓国学ハンマダン』の編者二人が語る「在日コリアン」と日本軍「慰安婦」問題
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3月3日(金)19:00~20:30
【会場+オンライン】『絶縁』からはじまるアジア文学 第一夜
星泉×村田沙耶香
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3月4日(土)12:00~14:00
【会場開催】春夏秋冬の日韓お料理比べ―春編:ビビンバとバラちらし寿司
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3月7日(火)19:00~20:30
【オンライン】尹錫悦政権一年を診断 ー選挙からみた韓国の民主主義ー
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3月9日(金)19:00~20:30
【会場+オンライン】「推しの文化論」BTSの歌詞の世界を読み解く
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3月10日(金)19:00~20:00
【オンライン】パク・チャヌク-B級映画から愛をこめて
-ユリイカ「特集=パク・チャヌク」発売記念
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3月15日(水)19:00~20:00
【オンライン】ささきの部屋Vol.29-音楽ライター・まつもとたくおさんと新刊刊行を前祝いし、新生活も一緒に祝おう
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3月17日(金)19:00~20:30
【オンライン】「ソウルと〇〇」シリーズ:第3回「ソウル雑学シャワーから始まるソウルまち歩きーソウルと都市計画」
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3月22日(水)19:00~20:30
【オンライン】『「BTS学」への招待』刊行記念イベント「BTSは楽しむ前に知ってほしい存在?」
お申込みはこちらから
CHEKCCORI selection
2023 #3 「ジェンダーを超えていく」
3月8日は国際女性デー。女性の生き方やジェンダーについて考えてみませんか。キーワードは「声を出すこと」「科学」「身体」「家父長制」「物書きとして」など。 丁寧に思索を深める時間が明日を生きる力をもたらしてくれるはずです。

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クオンのおすすめ
2月25日(土)先行発売『#発言する女性として生きるということ』
1月のメルマガでお知らせしたチョン・ソヨンさんのエッセイ集『#発言する女性として生きるということ』をCHEKCCORIでは2月25日(土)から先行発売します。今回のメルマガでは、この本のゲラ読みプレゼントに応募してくださった皆さんの感想を一部ご紹介します。
「セクシャルマイノリティ、親切を搾取する世の中、難民問題、男性優位の社会、少子化問題などなど、綴られる言葉は日本に置き換えても何ら変わらない、そんな思いになります。
でも、エピソードごとに文末はどこか前向きで、そして読み手に問題提起をしているように感じました。こんな問題がある、では私たちはどうするのか。どう考えてどんな社会を作りたいのか。理解されないと嘆くだけでないこの問いは深く心に残りました」
―あおいさん
「彼女がニュースを目にしたり同僚と話したりワークショップに参加する日常は、そのまま韓国社会の不条理との闘いの記録になっている。そのことに気づくと、その一部である素敵な落ち葉を本に挟む行動、年始に飼い猫に新しいスカーフを巻いてやることまでが、彼女の日常の力強さとして感じられた」
―Kambowskaさん
「はっとさせられる言葉の数々に、性別は関係なく、ぜひたくさんの人に触れてもらいたい」
―memmiさん
『#発言する女性として生きるということ』、ご予約受付中です!
店長のおすすめ本
★しみず店長★おすすめの評論集
『언더스토리(アンダーストーリー)』
『82年生まれ、キム・ジヨン』の編集者で文芸評論家のパク・ヘジンさんによる初の評論集です。
「再び出会う人間」「自我の後退」「愛と憂鬱の仕業」「倫理も美しい」の四章構成。
ハン・ガンの『작별하지 않는다』、キム・グミの『あまりにも真昼の恋愛』、
キム・スムの『さすらう地』、キム・ヨンスの『이토록 평범한 미래』、
キム・ヘジンの『娘について』などの作品について詳しく論じています。
作品世界をより深く味わい、探究したい人にぜひ。
小説を読んだ後にうまく言語化できなかった気持ちや考えを整理するのにも役立ちます。
★ジヨン店長★おすすめのエッセイ
『헌책 낙서 수집광(古本の落書きコレクター)』
ソウルで古本屋を運営している著者は、いわば「本探偵」。
その本探偵が自ら「不思議の国の古本屋」と名付けたこのウサギ穴のような空間には、
彼が密かに15年間収集してきた「落書き本」がある。
著者は本書でその落書きの裏に込められている正体不明の人々の内面、
そしてその状況について想像力を巡らせた。
本を読んだ人の人生が本の中に残されてこそ、本が本らしくなるのだと語る著者。
彼が伝える平凡だから心に染みる私たちの話に、しばし耳を傾けてみてはどうだろうか。
★スタッフさわだ★おすすめの絵本
『나는 지하철입니다(わたしは地下鉄です)』
舞台はソウルの地下鉄2号線。淡々と乗っては降りていく乗客たち。
顔もなくモノクロに描かれた空間で、一人ひとりに光が当たっていきます。
娘を一目見ようと急いで帰るサラリーマン、疲れた体で学習塾を後にする中学生、
仕事に就いておらず、自分は何者なのかと戸惑う20代の男性……。
それぞれが自分の言葉で語り始めると、表情や色彩、生活まで浮かび上がってきます。
登場人物の生い立ちや家族構成は文章に出てこない部分まで細かく決めた上で制作されたそう。
普段はただすれ違うだけの隣人たちの顔が、人生が、鮮やかに見えてくる絵本です。
★宣伝広報担当ささき★おすすめの日本語で読めるエッセイ
『多情所感 やさしさが置き去りにされた時代に』
読んでいた電車の中で何度か涙が浮かんだり、時には思わず「ふふっ」と笑い声が漏れそうになったり、
とさまざまな感情(多情)があふれた一冊だった。
読み終わるとみぞおちの辺りから身体中に温かさが広がっていくようだった。
著者は、前作『女の答えはピッチにある』でも人気を博したキム・ホンビさん。
子ども時代の思い出からこのコロナの時代の出来事を、
彼女なりの視点で感情豊かに、時には冷静に見つめた所感がたっぷり詰まっている。
中でも「飛行機はわるくなかった」「旬の食べ物をしっかりと摂ること」は特にお気に入り。
ミニコラム
<86年生まれの、私はキム・ジヨンです。>
#3 スピーチ大会に挑む
無理やり参加させられたスピーチ大会だった。にもかかわらず、参加すると決めた以上はうまくやり遂げたかった。それは自分の意志とは別に、いつも冷静だった担任の先生がどこか上気した顔でスピーチ大会を告知した時から予想していたことだった。おそらく各クラスの代表1名が参加して競争するこの大会はクラス対抗といった意味もあったからだろう。
何日か悩んだ末に決めたテーマは「名前」と「アイデンティティ」。誰かの娘、誰かの姉、時にはキム・ジヨンBとしての私(学生時代にはクラスにキム・ジヨンという名前を持つ人が何人もいる時もあった。まさに『82年生まれ、キム・ジヨン』のように)。そして「김지영」が「キム・ジヨン」になる世界で生きている今。何と呼ばれるかによって変わってしまう私のアイデンティティ、それがあの時の私が最も没頭していたイシューだった。原稿の冒頭にはずっと好きだった金春洙(キム・チュンス)詩人の「花」という詩を引用した。先生に添削してもらいながら書き直して修正する作業を何度も繰り返した。
問題はそれから。日本語を学んだ2年間、伸びるスピードが一番遅かったのは話すことだった。それに私は、活発な性格に比して他人の注目を集める席に立つことをとても恐れていた。練習を重ねても必ずどこかで原稿の内容を忘れてつっかえたりした。「うまくやり遂げる」といった当初の決意は砂粒のように散らばって消えてしまった。だから、スピーチ大会なんて、私にとって最悪の記憶になるはずだと思っていた。
大会の当日。ぶるぶる震える手足を押さえ、何とか舞台に上がった。頭上から降り注ぐ照明の光と次々と焚かれるフラッシュで目の前が真っ白になった。一言も発せないまま、どうしようもなく減り続ける時間に、絶頂に達した緊張感が全身を包み込む。マイクから流れる聞き慣れない自分の声が会場全体を満たした瞬間、ぼんやりと曇った視野越しに先生の紅潮した顔と、切実な表情で私を見つめるクラスメートたちの姿が映った。ひたすらこの地獄のような瞬間が大きなトラブルなく無事終わることだけを望んだ私の頭とは裏腹に、なぜか心の底から燃え上がる熱いものを感じた。
結果はタイムオーバーで脱落。しかも、たった2秒。惜しい結末だった。受賞こそできなかったが、すがすがしい気分だった。大きな課題を終えたかのような満足感もあった。もちろん、その後いきなり話すのが上手になったとか、人前でしゃべることに恐怖を感じなくなったとか、そういった劇的な変化は起こらなかった。それでも、私の心はある目標を成し遂げたという達成感に満ちていた。それは、普段自らが最も下手だと見なしていた分野への取り組みだったことが大きな理由だろう。あの時のあまりにも強烈な経験は「苦手なことへの挑戦」の裏側に隠された大事なことに気づかせてくれた。結果はどうであれ、その過程で経験した悩み、挫折、緊張、喜び、充足感など、そのすべてが私を成長させる貴重な栄養源になった。人生初のスピーチ大会は、自分の中に潜んでいるスピーカーとしての新しいアイデンティティを発見した、一生忘れられない「大事件」だった。
発行:CHEKCCORI(チェッコリ)
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