チェッコリで米国の絵本作家、センダックの魅力に出合う!

7月15日(土)は、申明浩先生の絵本講座でした。今回のテーマは、『かいじゅうたちのいるところ』で有名なモーリス・センダック。実は私、『かいじゅうたち…』を読んだことがなかったのですが、センダックがニューヨーク・ブルックリン生まれであること、ポーランドから移り住んだユダヤ人の両親のもとに生まれ育ったこと、幼いころから病弱だったことなど、彼の生い立ちそのものが物語のようで、冒頭から申先生のお話にぐんぐん引き込まれていきました。

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『かいじゅうたちのいるところ』の解説で興味深かったのは、映画的手法が使われているということ。ページの余白がだんだん小さくなる、つまり、絵がだんだん大きくなっていって、なるほど、まるで映画を見ているような錯覚に陥ります。細部もとても細かく描かれていて、主人公マックスが着ているかいじゅうの着ぐるみみたいなパジャマや、部屋の壁に掛けたロープとその結び方、踏み台にしている重ねた分厚い本など、言葉はなくてもマックスの性格や日常、家族との関係が浮かび上がってきます。

『真夜中のだいどころ』は、「朝、焼き立てのパンを用意するために店員は夜通しパンを焼いています」という広告から発想した作品だというのが、何ともアメリカらしい! 登場するパン職人を有名な喜劇俳優に似せて描いたり、塩の缶にユダヤ人を象徴するダビデの星を描いたり、パン生地はいろいろ混ぜれば混ぜるほどおいしいというせりふなどで人種のるつぼ、マンハッタンと自身のアイデンティティを表現したり。「個人的な情報をさりげなく盛り込んでいる」(申先生)というのがまた、おもしろく感じました。

チェッコリで初めて出会ったセンダック、すっかりファンになりました。センダックの作品は英語はもちろん日本語にも韓国語にも訳されているので、読み比べる楽しみもありますね。

次回の申明浩先生の絵本講座は9月9日(土)12時から。テーマは「絵本に描かれる『生きる』と『死』について」です。

詳細はこちら。
http://www.chekccori.tokyo/my-calendar?mc_id=338

 

(金、土店長 しみず)