CHEKCCORI通信 Vol.192【ハン・ガンさんの本がもれなく入ってる! 2025オリジナル福袋「ちぇっくチュモニ」ご予約受付中】

※このメールは、チェッコリからお送りしています。

2024.12.26

CHEKCCORI通信 Vol.192 http://www.chekccori.tokyo/


ごあいさつ

2024年はハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞でチェッコリにとって忘れられない1年となりました。お客さまにも温かいことばをたくさんいただき、来年のオープン10周年に向けて弾むボールのように軽やかに前進できる気がします。

先日は、ハン・ガンさんの本を読んで初めて韓国に興味を持ったというお客さまが『世宗、ハングルで世の中を変える ハングル創製の物語』(クオン)を買っていかれ、文学の力とこつこつ続けることの大切さを強く感じました。来年も変わらず、韓国の魅力的な本をどんどんご紹介できればと思います。

みなさま、どうぞよいお年をお迎えください。

(しみず)

お知らせ

年末年始休業のご案内

12月29日(日)から1月6日(月)まで休業いたします。年始の営業は1月7日(火)正午からです。

詳細はこちらから

CHEKCCORI福袋「ちぇっくチュモニ」ご予約受付中

ノーベル文学賞を受賞したハン・ガンさんの著書(韓国語版)がもれなく入ったCHEKCCORIオリジナル福袋「ちぇっくチュモニ」をご用意しました。赤と青の2タイプあります。

ご予約はこちらから

チェッコリ翻訳スクール受講生募集中

1月開講の翻訳スクール受講生を募集中です。「翻訳者のための文章講座」など新規開講のクラスもありますので、どうぞチェックしてみてください。

詳細はこちらから

チェッコリベストセラー2024


K-BOOKへの関心がますます高まる中、小説が圧倒的に総合上位を占める結果となった2024年のチェッコリベストセラー。今回は、ジャンル別に上位3位を発表します。

chekccori

1.第8回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」課題作2冊セット(『툰드라』『사랑, 이별, 죽음에 관한 짧은 소설』)

今回の翻訳コンクールの締め切りは2025年1月末日です。応募予定の方、ファイティンです!
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

2.소년이 온다(ハン・ガン『少年が来る』韓国語原書)

2024年の韓国を象徴する本となりました。いま一度、民主主義というものを考えるきかっけに。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

3.채식주의자(ハン・ガン『菜食主義者』韓国語原書)

読むたびにこれほど受け止め方の変わる小説は少ないのでは? 何度も読み返してほしい現代人の必読書です。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する
chekccori

1.글멍 – 글 쓰는 멍멍이(『はじめまして、ムンゲです。』韓国語原書)

マルチーズの愛犬ムンゲの目線で描かれたイラストエッセイ。じんわりしみる温かさに誰かを大切にしたい気持ちがふくらみます。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

2.너에게만 좋은 사람이 되고 싶어(『君にだけいい人でありたい』)

恋にときめき、別れに傷つき、人間関係に悩まされて先の見えない明日に苦しむ――。そんな人たちに贈るやさしい「金言」が詰まっています。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

3.오늘의 좋아하는 것들(『今日の好きなもの』)

その日に目にしたすてきなものを水彩画と短い文章で記録したイラストレーター、キム・イランの「観察日記」。何気ない日常がいとおしくなります。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する
chekccori

1.한류로 읽는 한국 문화(『韓流で読む韓国文化』)

「韓国人はなぜこうなのか」――。ドラマや映画、テレビ番組、K-POPを通して感じた疑問を解決してくれる、韓国文化の入門書決定版。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

2.성덕일기(『成功したオタク日記』韓国語原書)

成功したオタクとは何なのか。22歳の映像作家が記した愛と葛藤の全記録。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

3.문학이 차린 밥상(『文学に見る韓国の食卓』)

チェ・ミョンヒの『人魂』、朴婉緒の『未亡』、朴景利の『土地』などの小説に登場する食文化を、文学を愛する栄養学者がわかりやすく解説。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する
chekccori

1.알사탕 제조법(『あめだまの作り方』)

世界中の読者に絶大な人気を誇るペク・ヒナさんの『あめだま』の番外編。切実な心の声を聞かせてくれるあめだまを作る苦労がユーモアたっぷりに描かれています。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

2.모 이야기(『Mo Story 子猫のモー』韓国語原書)

怖がらずに一歩一歩前に進むことの大切さを教えてくれるキュートな絵本。プレゼントにもぴったりです。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

3.별 낚시(『星をつるよる』韓国語原書)

1月のチェッコリでのイベントで著者のキム・サングンさんのファンになった人も少なくないはず。眠れない夜のお供にどうぞ。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する
chekccori

1.일본어 번역 스킬(『日本語翻訳スキル』)

チェッコリオープン以来のベストセラー。韓国語学習者ならぜひ1冊!
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

2.일본어 의성어 의태어 사전(『日本語の擬声語・擬態語辞典』)

「ネイティブのような自然な日本語を」をコンセプトにつくられたオノマトペ本。日本語学習者向けですが、韓国語学習者にも確実に役立ちます。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

3.시사일본어(『時事日本語』)

「お寿司は『おまかせ』で」「長野県でクマ襲撃事件発生」など日本のニュースが日韓両語で書かれています。作文やスピーキングの勉強にどうぞ。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

クオンのおすすめ

いまいちど、谷川俊太郎さんの言葉を味わおう

今年11月13日、92歳で亡くなった谷川俊太郎さん。TVや新聞だけでなくSNS上でも、故人を偲んでたくさんの詩が引用されました。

そんな谷川さんが、かつて韓国の詩人、申庚林さんと「対詩」をしていたことをご存じですか? 対詩とは、一対一で交互に詩を作りながらひとつの連作に仕上げること。翻訳者の吉川凪さんを介して、日本と韓国から詩を送りあう日々が続きました。

同じ時を過ごし、それぞれの目で見つめた、国と国との関係、自然や家族、そしてセウォル号事件……。現実を切り取るお二人の詩の言葉に、時にハッと、時にうっとりさせられます。タイトルの『酔うために飲むのではないからマッコリはゆっくり味わう』は、この対詩から生まれたフレーズ。どんな言葉が続くのかは、本書でお確かめください。

ほかにも、お二人の代表作、日本と韓国で行われた対談、そして貴重なエッセイが収録されています。約10年前に刊行されましたが、記されている言葉の一つひとつは今もまったく色あせることがありません。

CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

来春、シリーズ最新作が刊行予定!

日本と韓国の知識人140人が、日本語圏の読者に向けて朝鮮半島にまつわる書物を紹介したガイドブック『韓国・朝鮮の知を読む』。タイトルの通り、「知」をテーマにした本が多数紹介されています。

執筆者だけ見ても、考古学者、小説家、劇作家、詩人、ファッション・デザイナー、社会言語学者、ジャーナリスト、中国語学者、ロシア文学者、建築家、映画監督、情報工学者、翻訳家、環境運動家、ラジオDJ、歴史学者、自然哲学者……とバラエティ豊か。

「ちょっと考えただけでも、日本語圏と韓国語圏では、韓国・朝鮮の知ということばの前で大きな違いが現れることが、予想される。そうであるならなおさら、日本語圏と韓国語圏、双方の答えをぎりぎりと言語化し、持ち寄ってみたい。それぞれから寄せられる答えを、共にしてみたい」(はじめにより)

「知の万華鏡」というキャッチコピーがつけられた本書。一冊読み通せばきっと、知識と教養、朝鮮半島への関心を一気に押し広げられるはず。知的好奇心を刺激された方は、ぜひ続編の『韓国・朝鮮の美を読む』を手に取ってみてください。来年春には、シリーズ最新作となる『韓国・朝鮮の心を読む』も刊行予定です。乞うご期待!

CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

店長のおすすめ本


★しみず店長★おすすめの詩集

『백장미의 창백(白バラの蒼白)』

最近いつになく詩に惹かれる。長い物語の翻訳を終えたからかもしれないし、友人たちと感動の再会をした夜に白石の詩を朗読する時間を持ったからかもしれないし、内面を深く見つめたいという深層心理が働いているのかもしれない。本書は『詩누이』でおなじみのシンゴさんこと、シン・ミナさんによる3作目の詩集。父の臨終に立ち会い、彼女にとって子供みたいな存在だった愛猫を失った時期に書かれた45篇の作品は、相互関係にある生と死に対する思惟を促す。と同時に、「身近な死と、世界のどこかの国境で起きている遠くの死に対する『痛みのグラデーション』に苦悩し、言葉の限界を感じた」という詩人の思いが伝わってくるようだ。繊細で凝縮された詩人の言葉は時には難しく思えるけれど、静かに耳を澄まして一つひとつ感じてほしい。

CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

★ジヨン店長★おすすめのエッセイ

『이유 없이 싫어하는 것들에 대하여(理由もなく嫌いなものについて)』

誰しも、理由もなく何かを「嫌い」と感じたことがあるでしょう。この本は、「嫌い」という感情に静かに寄り添い、その複雑さと微妙な陰影を丹念に探っていきます。その過程で見えてくるのは、嫌悪の裏側にある憧れや孤独、恥ずかしさといった感情、さらには不器用な愛情です。著者は、何かを好きになることの美しさだけでなく、嫌うことや憎むことも人間の心にとって意味ある営みだと語りかけます。そして、この感情を見つめ直すことで「好き」という気持ちがどれほど尊く、かけがえのないものかを改めて気づかせてくれるのです。憎しみも愛情も、どちらも人間らしい感情の表と裏。その両方に目を向けることで、自分自身の不完全な心と向き合うきっかけを与え、「嫌い」という感情の奥深さを知ったとき、あなたの世界がほんの少し優しく広がる――そんな体験を届けてくれる一冊です。

CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

★スタッフさわだ★おすすめの絵本

『건축물의 기억 (建築物の記憶)』

出版社サゲジョルによる民主主義と人権をテーマにしたノンフィクション絵本シリーズの一冊。「建築物」とは、ソウル地下鉄南営駅近くにある、かつての警察庁治安本部南営洞対共分室。軍事独裁政権当時、共産主義者追放という名目で公安当局による拷問が行われ、1987年にはソウル大生朴鍾哲さんの拷問死事件がおきた現場でもあります。映画『1987、ある闘いの真実』や『南営洞1985』でも描かれたこの場所の記憶を、3人の作家が加害者、被害者、建築物それぞれの視点で分担して描くこの絵本。重く、目を逸らしたくなる記憶を過去のものとして切り離さず、その延長線上に「今」があることを確かに感じさせてくれます。

CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

★宣伝広報担当ささき★おすすめのノンフィクション

『在日サッカー、国境を越えるーー国籍ってなんだ?』

スポーツ観戦大好きな私にとっては、タイトルを見ただけで読まねば!と思っていた一冊です。今ではスポーツ各界で多くの地域にルーツを持つ若者たちが活躍する時代ですが、かつては「在日」であることにはさまざまな困難がありました。この作品は、ノンフィクションライターの木村元彦さんが、在日サッカー選手の先駆者のひとりとも言えるアン・ヨンハ(安英学)のサッカー人生を追いながら書いたもので、在日であることで起こったさまざまな葛藤、日本そして韓国、北朝鮮との関係、そして何より「国籍」というものを考えさせてくれます。本書は10代のための新シリーズ「ちくまQブックス」の一冊で、シリーズコンセプトは“きみの未来は「なぜ」からはじまる”です。年末年始の休みにお子さんたちとともに、この本から「なぜ」をいっぱい掴み取ってほしいと思います。

CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

ミニコラム

<何でもまずやってみたい店主きむのイヤギ>

♯3 人生の引き出しに入っているものたち

今年の下半期は本当にスペクタクルでした。

2014年にスタートした朴景利の大河小説『土地』が2024年10月についに完訳となりました。翻訳の吉川凪さんと清水知佐子さん、編集の藤井久子さん、校正の朴さん、そして監修者であり、資金面での支援もしてくださった金正出先生に感謝いたします。

10月4日には、『土地』の完訳に対して韓国の大統領から表彰を受けました。大統領賞をもらったと喜んでいたら、「大統領賞」ではなく「大統領表彰」だと吉川さんが正してくれました。賞はコンクールなどで競い合って勝った時に与えられるもので、表彰は功績を褒めたたえるものだと。『土地』の完訳は功績だというわけです。

光化門広場で大統領の代理として、ユ・インチョン文化体育観光部長官から表彰されました。光化門広場は世宗大王と李舜臣将軍の銅像がある場所で、世宗大王と李舜臣将軍に認められたような気がしました。

日本の哲学者で一橋大学名誉教授の鵜飼哲さんは、『火山島』(金範石著)全巻の韓国語版翻訳について「当代における東アジア最大の文化事業ではないだろうか」と言及したことがありますが、『土地』全20巻の翻訳についてはどんなふうに表現されるでしょうか。

大統領表彰を終えて東京に戻った数日後に、「ハン・ガンさんノーベル文学賞受賞」のニュースが飛び込んできました! スウェーデン・アカデミーは、ハン・ガンさんの作品は「歴史的トラウマと向き合い、人間の生のもろさを浮き彫りにした強烈な詩的散文」だと受賞理由を伝えました。

クオンからはハン・ガンさんの本が4冊も翻訳出版されています。ノーベル文学賞受賞以来ずっと、多くのメディアから「ハン・ガンさんはノーベル文学賞を受賞するだろうと予想していたか」という質問を受け続けています。受賞はうれしいけれど、最初からそんなことを考えていたわけではありません。受賞を想定して仕事をする人なんてどこにもいないのではないでしょうか。ハン・ガンさんの『菜食主義者』は2016年にマン・ブッカー国際賞(現:国際ブッカー賞)を受賞しました。また韓国では、『菜食主義者』の中に収録されている「蒙古斑」が2005年に李箱文学賞を受賞しています。

彼女の作品を読んできた多くの人々が、インスピレーションと慰めを得てきました。私もその一人です。ハン・ガンさんが受賞したのもうれしいですが、その賞をきっかけにハン・ガンさんを知った人が彼女の作品を読んでどれだけ慰められただろうと思うと喜びもひとしおです。『少年が来る』を読み、深い悲しみに浸る読者の時間を想像してみます。人生において、小説を読んで悲しみに浸るほど尊い時間はないでしょう。

私は小説を読んでいる時の、全身に染みわたるように迫ってくる悲しみ、喜び、恍惚感、温かさ、ぞくぞくする感じが好きです。展開が速い小説は急いでページをめくりますが、文体が美しい小説に出会うと、ページをめくる手を止めてその文章をじっと見つめていることもあります。私にとって最高の時間は、じっくりお風呂に浸かったり、おいしいものを食べたり、走ったり、わくわくしながら企画書を書く時間ではなく、美しい文体の小説を集中して読む時間なのです。

私が一生懸命本を作り、本を売る理由は、この感覚を分かち合いたいからなのだと思います。これからもきっと弾む気持ちで、チェッコリを訪れた人たちに本をおすすめすることでしょう。

(店主 きむ)

発行:CHEKCCORI(チェッコリ)
http://www.chekccori.tokyo/
https://twitter.com/chekccori
https://www.instagram.com/chekccori/
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町 1-7-3三光堂ビル3F
TEL:03-5244-5425 FAX:03-5244-5428 
mail:info@chekccori.tokyo