CHEKCCORI通信 Vol.94 【店長のおすすめ本に、気になる小説がいっぱい】

  
 
お店の外に飛び出した、目まぐるしくも楽しいイベントたちも終わり、
 少しゆったり気分のチェッコリです。
 とはいえ、年末の足音が近づくにつれ、なんだかバタバタしそうな予感も……。
11月から年末にかけて韓国の本の出版が続きます。小説からエッセイ、人文書など
 バラエティに富むラインナップ。
 「韓国」というキーワードで、いままで読んだことのなかったジャンルに挑戦するのもありなのでは。
 気になる本はお気軽にその日の店長に聞いてみてくださいね。
(土曜店長 ぱく)
  
 

◆◇ 店長のおすすめ ◇◆

 
■きむ店主おすすめの小説
 『일의 기쁨과 슬픔』(仕事の喜びと悲しみ)
K-BOOK FESTIVALに参加した韓国の書店のみんなが声をそろえて推薦していた一冊。
 新人チャン・リュジンの初の短編集です。
 8編とも今風の会社員の喜怒哀楽が書かれていてどれもすごいです。
 それほど親しくない同僚に送った結婚式の招待状を巡るエピソード、
 スタートアップ段階のECサイトで働くまだ社会経験が少ない私が語るIT企業の人間群像。
 今20代、30代の韓国のサラリーマンたちの心理が丸々見える作品ばかり。
 ちょっぴり弱くて純真な主人公たちが最後にとる態度は相手を思う温かい気持ち。
 悲しみと喜びのバランスをよくとっています。
8編の中で一番好きな作品は「私の福岡ガイド」。
 話が通じる仕事仲間に恋心を抱く30代の男性主人公。マグマグ(がんがん)応援したくなります。
 久しぶりに読んだ気持ちいい恋愛小説です。
 http://shop.chekccori.tokyo/products/detail/1500
■しみず店長おすすめの小説
 『산 자들』(生きた人々)
2015年から2019年まで、さまざまな文芸誌で発表された、新聞記者出身の小説家
 チャン・ガンミョンによる10編の短編小説を収録。
 アルバイトとして数々の職場を転々としてきたヘミが
 「弱者」として身に着けたたくましくも哀しい処世術、
 突然、部署ごと「社内待機」の発令を受けた若い社員たちの選択、
 パン屋の激戦地で本社の競争戦略に振り回されるチェーン店の人々、
 ビルの建て替えに伴って立ち退きを言い渡された「撤去民」の闘いなど、
 「解雇」「闘争」「忍耐」の3つのキーワードをもとに、
 2010年代の韓国社会の労働・経済問題を描き出している。
 http://shop.chekccori.tokyo/products/detail/1415
■ぱく店長おすすめの人文書
 『선량한 차별주의자』(善良な差別主義者)
差別をされたとは聞くけど、差別をしたという話は聞かない。
 差別と平等の二択を差し出されたとき、平等を選択する人が圧倒的に多いと思われるのに、
 差別がなくならないのはなぜか。
 これは差別ではないと意識的に正当化する者もいるが、
 果たして悪意がなければ差別ではないと言い切れるのだろうか。
 著者は研究だけでなく、実際の差別を聞き取る活動を通して、隠れた差別について語る。
 http://shop.chekccori.tokyo/products/detail/1473
■魯店長おすすめの料理エッセイ
 『한국인은 왜 이렇게 먹을까?』(韓国人はなぜこのように食べるのか?)
韓国人はなぜみんなで一つの鍋を囲んでチゲを食べたり、お酒を回し飲みするのか?
 なぜ食事の後、必ずコーヒーを飲むのかなど、外国人にはちょっと不思議な13の質問に答えています。
 食べ物を通じた韓国の歴史と文化について研究してきた人文学者のジュ・ヨンハ教授による
 「韓国人の食習慣と食文化」に注目した一冊。
 朝鮮王朝実録や文献、中国と日本、欧州の史料を比較し、時代ごとの韓国の食文化はなぜ、
 どのように変化してきたのか様々な視点から解説しています。
 外国人が知っておくと役立つ韓国での食事マナーなど、面白い内容が沢山載っているので、
 ぜひチェックしてみてくださいね。
 http://shop.chekccori.tokyo/products/detail/993
■澤田店長おすすめの小説
 『고마네치를 위하여』(コマネチのために)
再開発が持ち上がるソウルの貧しい町に住む主人公コマニは、コマネチに憧れて体操選手を夢見る少女だった。
 夢を追うのをやめ、目標もなく平凡に暮らして気づけば36歳になったマニに、人生の大きな試練が訪れる…。
 登場人物たちの夢はどれも叶わないし、貧しさは続いていく。それでも懸命に生きる人々を温かく描いた。
 『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者チョ・ナムジュが、デビュー作より前に初めて書いた長編小説。
 http://shop.chekccori.tokyo/products/detail/1501
■ささき店長のおすすめの日本語で読める小説
 『四隣人の食卓』
「ようこそ! 夢未来実験共同住宅へ」の帯を見た瞬間に
 読みたい!と思った一冊。国家が建設した少子化対策用の集合住宅に
 住むことになった4組の夫婦と幼い子どもたち。一見平凡で平和に見える
 人々から知らずに知らずに湧き出してくるさまざまな感情のぶつかり合い。
 母親だから、父親だから、女だから、男だから、年長だから、そんな固定観念に
 押しつぶされていく現実はどこにでもある。リアルに描写される夫婦の会話、
 子どもたちの様子、まるでウン十年前の子育て時代に戻ったよう。
 その食卓の先にみな何を思うのだろうか? 語り合いたくなった。
 http://shop.chekccori.tokyo/products/detail/1498
  
 

◆◇ お知らせ ◇◆

 
■2020年1月開講「チェッコリ翻訳スクール」受講生募集開始
お待たせしました。
 2020年のスタートに新しいことにチャレンジしてみませんか!
■出版翻訳入門コース
 翻訳を目指すうえで必要なことなど、出版翻訳の観点から基礎を学びます。
 http://www.chekccori.tokyo/school/2001_nyumon
■出版翻訳実践コース
 文芸作品を教材に、出版翻訳に必要な基礎知識や注意点などを学びます。
 http://www.chekccori.tokyo/school/2001_jissen
■文芸翻訳初級コース
 語彙を増やすこと、解釈のコツをつかむこと、社会的背景に関する理解を深めること、
 そして何より楽しみながらどんどん読めるようになることが目的です。
 http://www.chekccori.tokyo/school/2001_bungeisyokyu
■文芸翻訳コース
 韓国語で書かれた文芸作品の内容を正確に理解し、読む人に伝わる日本語の文章に直す練習を、
 実践的な演習形式で行います。
 http://www.chekccori.tokyo/school/2001_honyaku
■文芸翻訳読解コース
 小説を読み込む力を身につけ、韓国語での朗読で発音やイントネーションまで学べる講座です。
 http://www.chekccori.tokyo/school/2001_dokkai
■ビジネス翻訳コース一日講座
 ビジネス翻訳に携わる上で最低限必要な構文解釈、言い回しなど基礎的なスキルを学びます。
 遠方の方、定期的に通学することが困難な方にもおすすめの一日講座です。
 http://www.chekccori.tokyo/school/2003_business
  
 

◆◇ ミニコラム ◇◆

 
<みなさんの声を集めて>
日本の出版社が19社、韓国の書店が3店、そして、ハンドメイド工房とお餅・コーヒーのカフェまで
 参加したK-BOOK FESTIVALが11月9日(土)に開かれました。
約1,200人の方が来場し、会場が少し狭く感じられるほど。本を買い、
 書店員や作家たちのトークにクイズ大会など8つのイベントにも参加してくださいました、
 出版社、書店、作家、読者が集まるフェスティバルで多くの人から聞こえてきたのは、
 “直接会うことで互いがものすごく親しく感じた!”という言葉です。
 作る人は読み手のことがわかる、売り手は作る人のことが見えて嬉しい、
 作家の話を直接聞いて嬉しい。私たちもそうですがみんなが喜んでくれました。
呼んでほしい作家、やってほしいイベントなど、ぜひ聞かせてください。
 みなさんの声を多く集めて、来年のK-BOOK FESTIVALもぜひやりたいと思います。
(店主 きむきむ)
  
 

◆◇ まだ間に合うイベント情報 ◇◆

 
◆11月28日 (木) 19:00 – 20:00
 みんなで語る文旅報告会―大邱を巡って
今年も行ってきました「文学で旅する韓国(略して文旅)」!
 向かったのは韓国第3の都市、大邱でした。上は80代から下は20代の若者まで幅広い世代が、
 一緒に楽しく旅してきた様子を報告しつつ、大邱の魅力をお伝えします。
 
イベント メイン
◆12月4日 (水) 19:00 – 20:30
 心に響く光州5.18「あなたのための行進曲」
5.18光州民主化運動で生まれた「あなたのための行進曲」をはじめ、韓国市民が心を分かち合い、
 真実をつなぎ、ともに歌い広げてきた韓国民衆歌謡の名曲を紹介していただき、
 「朝露」や「あなたのための行進曲」を一緒に歌います。
 
イベント メイン
◆12月6日 (金) 19:00 – 20:30
 アジア文学の誘い@チェッコリー第9回『三体』
世界で爆発的なベストセラーとなり、日本でも10万部を超えるベストセラーとなった
 中国SF小説『三体』をテーマに語り合います。ゲストには、SF評論家でもあり、
 『三体』の翻訳者でもある、大森望氏をお招きします。
 
イベント メイン
◆12月13日 (金) 19:00 – 20:00
 『韓国語ジャーナル2020』刊行記念 「編集ここだけの話と発音ミニレッスン」
7年ぶりに帰ってきた『韓国語ジャーナル2020』の刊行を記念して、
 編集者による「制作秘話」や、執筆陣による「韓国語発音のコツ」の実演を交えたレクチャーもあります。
 ※満席になりました
◆12月14日 (土) 12:00 – 13:00
 「直訳ではわからない、韓国語の慣用句」を学ぼう!
韓国語は慣用句を会話で多く使います。そのため韓国語の上級者でも、
 慣用句が分からなかったら、スムーズに会話をすることは難しいでしょう。
 そこで韓国人ならだれでも知っていてよく使う慣用句を押さえておきませんか?
 一緒に楽しく学びましょう!
 
イベント メイン
◆12月20日 (金) 19:00 – 21:00
 [チェッコリ大学]韓国映画から学ぶ韓国現代史-追加講座「ポン・ジュノ監督作品を読み解く」
クォン・ヨンソク先生による「韓国映画から学ぶ韓国現代史」の追加講座です。
 2019年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『パラサイト 半地下の家族』(原題:寄生虫)の
 日本公開(2020年1月)を記念して、ポン・ジュノ監督の作品から韓国現代史や韓国社会を学びましょう。
 
イベント メイン
__おしまいに__________________________
担当していた大きなイベントが無事に終わり、進行管理を務めていた書籍も
 無事に校了して気持ちはもう2020年へ。
 そしてまず第一の目標は各種イベントのオンライン化。
 来年こそ、実現させます! と書いて自分にプレッシャーを。
 (宣伝広報担当 ささき)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━