李政美さんの大人の歌声にしびれる

7月7日(木)、チェッコリの一歳の誕生日となるこの日、「チェッコリ一周年記念イベント」として、李政美さんのライブが行われた。

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李政美さんは、在日二世のシンガーソングライター。ギターの矢野敏広さんの演奏とともに歌が始まるとその歌声にしびれてしまった。大人の歌声とはまさにこんな声を言うのではないか。ちょっとハスキーな声は、とてもセクシーで妙に胸を打つ。優しく語りかけるようで、力強い歌声。生で聴く迫力に感動しっぱなしだった。

狭いチェッコリの会場ではギター奏者以外にいないため、政美さん自身もギターを抱えたり、オカリナを奏でたり、チャンゴを叩いたりと大忙しだ。
そして在日二世としてご自身が育った葛飾での生活を語る政美さん。時には男まさりに働く母親が恥ずかしく思えたこともあったという。だが時を経て父、母を思い、作ったという「京成線」の歌にはグッときた。

 

オリジナル曲はもちろんのこと、日韓の詩人たちの詩に曲をつけた名作が披露される。
ト・ジョンファン「あなたの墓のそばに」、金素月「つつじの花」、尹東柱「序詩」といった韓国を代表する詩人たちの歌を韓国語、日本語で歌いあげる。
さらに日本の詩人中原中也「湖上」、金子みすゞ「わたしと小鳥とすずと」と続く。

 

中でも金子みすゞ「わたしと小鳥とすずと」は、全員で手話も交えて一緒に歌ったが、それはそれはよかった。
詩の中の一番有名ともいえるフレーズ「みんなちがって、みんないい」を韓国語に翻訳するにあたっていろいろと悩んだ末に出てきたと言うこのフレーズ、ぜひ覚えておきたい。

 

「서로서로 다르지만 그래서 좋아요」

 

日本語とはひと味違うが、この言葉の意味は深い。
そんな思いを存分に味わいながらの全員での合唱は素晴らしいものだった。

 

それぞれの詩の魅力が曲にのって、新しい世界に広がっていくのが、李政美さんのライブの醍醐味だろう。
そしてフィナーレは、チャングを抱えた政美さんに合せて「アリラン」を唄い、最後まで盛り上がる。

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一周年記念の夜にふさわしい、感動と感謝のひと時だった。次は冬にまたライブをと、約束した。