CHEKCCORI通信 Vol.174【편집자KのYouTubeにチェッコリが登場!翻訳家も翻訳家志望の方も必見です】

※このメールは、チェッコリからお送りしています。

2023.6.22

CHEKCCORI通信 Vol.174 http://www.chekccori.tokyo/


ごあいさつ

あの「편집자K(編集者K)」さんのYouTubeにチェッコリが登場しました!

毎回、作家らをゲストに迎えて書店を訪問し、10万ウォン円分の本を購入するシリーズの一つで、今回のゲストは、是枝裕和監督のエッセイや川上未映子さんの小説など数多くの翻訳を手がけているイ・ジスさん。

韓国人の目線で、翻訳家の目線で、これも買わなきゃ、あれも読みたいといろんな本の魅力をたっぷり紹介しながらお買い物される様子が収められていますので、どうぞお見逃しなく。

翻訳家を目指している方のためになるコメントもちょこちょこありますよ。
https://www.youtube.com/watch?v=WStCBfdMTSQ/

(しみず)

お知らせ

『小説家の映画』タイアップ企画実施

『小説家の映画』(ホン・サンス監督)の日本公開を記念して、韓国語の原書などが10%OFFになるタイアップ企画を6月27日(火)から実施します。

詳細はこちら

「韓国新人劇作家シリーズ」with CHEKCCORI

7月13日(木)から開催される「韓国新人劇作家シリーズ」第7弾。CHEKCCORIは会場ロビーにて本の販売とポスター展【日本語で読める韓国の文学2007-2022 クオンの「新しい韓国の文学」シリーズとともに】を展開します。

上演の詳細はこちら

営業時間変更のお知らせ

7月7日(金)は貸し切りのため18時30分までの営業となります。

イベント情報


6月23日(金)19:00~20:30
【会場+アーカイブ配信】戸田郁子が語る『記憶の記録』
古い写真が紡ぐ暮らしの様相

お申込みはこちらから

6月24日(土)11:00~12:30
【オンライン】キム・ボラ監督と語る、学ぶ、考える
―『はちどり 1994年、閉ざされることのない記憶の記録』刊行記念

お申込みはこちらから

6月27日(火)19:00~20:30
【オンライン】「⽇本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」を語る会
―第6回課題作『僕のルーマニア語の授業』編

お申込みはこちらから

6月30日(金)19:00~20:00
【会場+オンライン】木村伊兵衛写真賞受賞作『Sakhalin』からサハリン残留韓国・朝鮮人を考える

お申込みはこちらから

7月1日(土)12:00~14:00
【会場】春夏秋冬の日韓お料理比べ
―夏編:コングクスと冷やし中華

お申込みはこちらから

7月6日(木)19:00~20:00
【会場】8周年に寄せて
~展示会「Liber Sapiens:本を読んだ人類」の仕掛け人・孫東元さん×金承福対談「本と芸術」

お申込みはこちらから

7月13日(木)19:00~20:00
【会場+オンライン】多言語学者で翻訳家であるチェ・ソンウンが語る「韓国詩100年、モダンな韓国の詩人たち」

お申込みはこちらから

7月20日(木)19:00~20:30
【会場+オンライン】『赤い袖先』原作小説日本語翻訳版出版記念
-担当編集者座談、小説でこんなにときめくなんて!

お申込みはこちらから

7月21日(金)19:00~20:30
【オンライン】「⽇本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」を語る会
―第6回課題作『総合』編

お申込みはこちらから

7月22日(土)18:00~19:00
【会場+オンライン】森崎和江著『慶州は母の呼び声 わが原郷』
韓国語版翻訳に掛けた日韓2人の翻訳者たちの思いとは?

お申込みはこちらから

クオンのおすすめ

邦訳刊行後初来日! 『仕事の喜びと哀しみ』チャン・リュジンさん

『仕事の喜びと哀しみ』(牧野美加訳)の著者チャン・リュジンさんが来日され、6月25日に大阪韓国文化院にてイベントが開催されます(※申込は終了)。

女優・作家・歌手の中江有里さんをモデレーターに迎え、作品の紹介や作品を通じて見える社会、そして働く女性について深く語り合うということです。

チャン・リュジンさんの単著はこれまで、6月23日に韓国で発売される『연수』を含め、3冊出ています。このうち『仕事の喜びと哀しみ』はデビュー作で、チャン・リュジンさんが会社勤めをしながら、自身と同じミレニアル世代の人々を主人公に書いた短編集です。

過度な競争社会や厳しい就職難、性別や家庭環境による格差などがある社会のなかで、「働くこと」を通じて直面する感情や人との関係性が生き生きと描かれています。読む人が登場人物に自分を投影しさまざまな感情を共有しながら、最後にはサイダーのような爽快感が残る一冊です。

ご購入はこちらから

6月新刊のお知らせ『道がなければ道を切り拓きつつ行く』

チェッコリの御書印に添えている「사람은 책을 만들고 책은 사람을 만든다(人は本をつくり、本は人をつくる)」は、韓国の大型チェーン書店「教保文庫」を設立した慎鏞虎(シン・ヨンホ)の言葉です。

6月末刊行の『道がなければ道を切り拓きつつ行く』は、自らの読書体験を通じて本を人生の師そして友とし、世界で初めて教育保険を作り教育や文化事業に一生を捧げた慎鏞虎の生涯と哲学を紹介する一冊です。吉川凪さんの翻訳でお届けします。

ご予約はこちらから

店長のおすすめ本


★しみず店長★おすすめの絵本

『고구마유(コグマユ)』

家も名前も忘れてしまった「コグマ(さつまいも)」が、初めて出会った仲間たちの力を借りて家を探しに出かける物語。さつまいもにつきものの「あれ」も登場し、子どもも大人も楽しめる絵本です。標準語の語尾「요(ヨ)」を「유(ユ)」と発音する忠清道の方言で描かれていて、翻訳者泣かせだなと思いつつも、そこにはとても平和で、のんびりした穏やかな響きがあり、音読していると温かい気持ちになれます。K-BOOK振興会主催の日韓出版人交流プログラムで出会った絵本専門の出版社「パンダル(半月)」の社長イチオシの作品。著者は、以前におすすめした『황새 봉순이(コウノトリのポンスニ)』のサイダさんです。

CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

★ジヨン店長★おすすめの人文エッセイ

『하늘과 바람과 별과 인간(空と風と星と人)』

美しい言葉で苦しい心境を情緒的に描いた尹東柱(ユン・ドンジュ)の詩集『空と風と星と詩』を模して、物理学者の目に映った世の中と人を解きほぐしたエッセイ。一見全く釣りあわない「感性の文学」と「理性の物理」の二つの世界が奇妙につながっているようなこのタイトルには、以前から「人」を理解したいと思っていた著者キム・サンウクの思いが込められている。 一時は物理学に精通すれば世の中を究明できると信じていた著者が無数の研究の末に悟ったのは、物理の境界を越えてこそ「人」を理解できるということ。原子から物質と生命、ひいては宇宙と人間がどのように絡み合っているかを易しい言葉で伝えるこのエッセイは、今までにない未知の世界の招待状になるはず。

CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

★スタッフさわだ★おすすめの児童書

『화장실에서 3년(トイレで3年)』

恥ずかしがり屋で口数の少ない小学3年生の女の子サンアは、遠足途中のサービスエリアでリスを追いかけ森の中に迷い込み、古くて小さなトイレから出られなくなってしまいます。読むこちらも辛くなるような一人ぼっちの恐怖の中で、思い出すのは周りの人と交わした会話。キンパの弁当を用意して送り出してくれた母に、母とすれ違い離れて暮らす父、祖父、友だち……。繊細な心と小さな体を奮い立たせて脱出を試みます。原書を読み切る経験を積みたい韓国語学習者向けの本を探す中で見つけた一冊です。韓国の小学1、2年生向けのシンプルな物語とはいえ、中級レベルの学習者にとっては単語帳を繰り返すだけでは覚えにくい生活に密着した単語も多く、読み応えも感じられます。「◯◯で3年」シリーズは他にも3冊あるので、ぜひ合わせてチャレンジしてみてくださいね。

CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

★宣伝広報担当ささき★おすすめの日本語で読める小説

『不便なコンビニ(불편한 편의점の日本語版)』

シリーズ累計150万部という大ベストセラーの日本語版がいよいよ登場。ソウルの下町で「不便なコンビニ」とも呼ばれる店を営む元教師のヨムさん。ある日、駅でなくした財布を拾ってくれた熊のようなホームレスの大男「独孤(トッコ)」と出会います。ひょんなことから店で働くことになったトッコとの出会いによって、店の従業員たち、ヨムさんの息子、そして店の客たちまで不思議なように人生の歯車が廻り始めます。やはり人と出会うこと、話すことっていいね、と素直に思えるその読後の温かさをぜひ味わってほしい作品。プレゼントにもおすすめです。

CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する

ミニコラム

<86年生まれの、私はキム・ジヨンです。>

#4 ラーメンと渋谷

蒸し暑い風が首筋をなでていった。ゆっくり流れる汗が数滴、空中に散らばる。日本で過ごす初めての夏。私は混沌とした渋谷の街の真ん中に立っていた。

まるでよく訓練された軍人たちが列をなして歩くように行き来する人々。そのためか、少しスピードを出して追い越したくても狭い歩道をすれ違う人とぶつかってしまう。どこからか飛び込んでくるように増えていく人の波に挟まれ、ただその「隊列」と速度に合わせて歩いていくしかなかった。

人混みに流されながらも、決して足を緩めることはない。目的が明確だったからだ。ラーメン。そう、まさにラーメンだった。私が韓国にいた時はまだ、日本のラーメン屋さんが少なかった。それでも運良く勤務地の近くにあるお店で長崎ちゃんぽんを食べてからは、週に3、4回はその店を訪れた。それほど日本に来る前からもっとも期待していたのは現地で食べる本物のラーメンだった。私が通っていた日本語学校から一番行きやすくて賑やかな渋谷。まだ日本語もうまくできないあの頃の私にとって渋谷以外に選択肢はなかった。人波にもまれ苦しみながらも、前に進む足取りにはおいしいラーメンへの執着がこもっている。しばらくの間、私は苦痛と喜悦を繰り返す異様な日常を送っていた。

ラーメン屋さんはとても多いだけに各地方やお店ごとによって味が違い、日本のラーメンは大衆的でありながら個性あふれる食べ物だと思う。そういう点でラーメンは韓国のトッポッキとも非常に似ている。放課後に友達と一緒に、あるいは道を歩いている途中に屋台で、日本のラーメン屋さんほど多い韓国の軽食チェーン店「キンパ天国」でと、どこででも簡単に食べられる安くて大衆的なトッポッキ。店によって異なる材料や作り方から生まれる微妙な味の違いはトッポッキを食べる楽しさを倍増させる。まるでラーメンのように。

正直にいうと、あの時渋谷で食べたラーメンの味はよく覚えていない。渋谷で食べたラーメンよりおいしいものがたくさんあるということを知ってしまったからだろう。それにもかかわらず、今でも渋谷と聞くと、鼻先からラーメンの匂いが漂うような気がする。おそらく私はどこにでもある日本のラーメン屋さんで、トッポッキを食べる時のような安らぎを感じたのかもしれない。あるいは、すべてが不慣れで何をするにも苦労していたあの頃、ひとりでしょんぼりしていないで楽しい時間を作り出した自分が誇らしいからかもしれない。

私は今も相変わらず豚を茹でる特有の匂い、香ばしいながらもどこか生臭いその匂いが鼻先を刺激する瞬間をとても楽しんでいる。時には思わず唾をぐっと飲み込んで、店の前をうろついたりもする。たいていは、今度来たら絶対食べようと写真を撮ったりメモしておくに留めるが、時々、誘惑を振り払えずドアを開けてラーメンの香りに身を浸す。どうやら、ラーメン屋さんの前、その道を行き過ぎるわくわくする気持ちが日本生活を続けさせる原動力の一つになっているらしい。

(ジヨン)

発行:CHEKCCORI(チェッコリ)
http://www.chekccori.tokyo/
https://twitter.com/chekccori
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町 1-7-3三光堂ビル3F
TEL:03-5244-5425 FAX:03-5244-5428 
mail:info@chekccori.tokyo