CHEKCCORI通信 Vol.181【第7回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」締め切り迫る!】

※このメールは、チェッコリからお送りしています。

2024.1.25

CHEKCCORI通信 Vol.181 http://www.chekccori.tokyo/


ごあいさつ

早いものでもう1月も終わりですね。

年末に臼と杵で餅をつく機会があったのですが、あとから写真を見て自分のへっぴり腰ぶりに唖然。今年はぜったい体を鍛えようと心に誓いました。

みなさんの今年の目標は順調に達成されていますでしょうか。韓国の本を読むことでしたらいつでもお手伝いしますので、どうぞお気軽にお声がけください。

(しみず)

お知らせ

第7回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」締め切り迫る

「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」の締め切りまであと1週間を切りました。
まだ応募されていない方は、課題作の著者お二人のメッセージを観て、読んで、最後の力を振りしぼってくださいね。

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インボイス対応領収書発行方法のご案内

オンライン書店「CHEKCCORI BOOK HOUSE」からインボイス制度に対応した領収書が発行できるようになりました。どうぞご利用ください。

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営業時間の変更について

店内でのイベント開催のため、下記のとおり営業時間を変更いたします。ご来店の際、お間違えのないようお願いいたします。

1月26日(金)12時~18時
1月31日(水)12時~18時
2月9日(金)12時~18時
2月15日(木)12時~18時

イベント情報


1月26日(金)19:00~20:00
【会場+オンライン】「もっと知りたい!韓国TVドラマ」初代編集長が語る韓流秘話
~「冬ソナ」ブーム到来と日本初の韓国ドラマ専門誌の誕生 ~

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1月31日(水)19:00~20:00
【会場+オンライン】コリアン・フード・コラムニスト八田靖史
「食の韓流20周年を振り返る」

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2月9日(金)19:00~20:30
【会場+オンライン】『米粉で作る 韓国餅のおやつ』出版記念
-韓国人の一生に寄り添う韓国餅をもっと知ろう!

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2月15日(木)19:00~20:30
【会場+オンライン】2024年K-カルチャー(映画、ドラマ、音楽、食、文学)大予想は、
4人揃ってワイワイガヤガヤとお届けします

お申込みはこちらから

クオンのおすすめ

刊行準備中:CUON韓国文学の名作006『幼年の庭』

韓国の近現代を生きてきた女性たちの、実際の生活と感情をリアルに描いた呉貞姫さんの小説集『幼年の庭』(清水知佐子訳)を2月に刊行予定です。
8つの中・短編はもともと独立した作品として発表されていたものですが、小説集として編纂される段階で主人公の年齢順に並べられたことで、一人の女性の生涯が浮かび上がる連作小説のような形になっています。
特設ページであらすじや発行人(金承福)の言葉などをご紹介しています。ぜひご覧ください。
2024年2月刊行予定『幼年の庭』特設ページ

店長のおすすめ本


★きむ店主★おすすめの人文書

『아픔이 길이 되려면(“痛み”が“道”になるために)』

私たちはどうすれば安全な社会で健康に暮らせるでしょうか? 本書は、この質問に対して保健学者である著者のキム・スンソプ教授が私たちに出してくれた処方箋でもあります。医療技術がいくら発達しても嫌悪、差別、雇用不安、災難などによって人々は病み、死んでいきます。堕胎、解雇、消防職員の安全と待遇、同性結婚、加湿器殺菌剤死亡事件など韓国の重要な社会問題とそれに関連するデータが世界各国の事例や対策と共に紹介されています。著者が挙げている韓国の健康不平等の事例は、日本で同様に進んでいる問題でもあり、日本社会にとっても良い処方箋になると思います。

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★ノ店長★おすすめの旅行本

『책 한 권 들고 떠나는 여행(一冊の本を手に旅に出る)』

旅を通じて文学と文化のつながりを知ることのできる旅行エッセイ。江華島の詩人の村、都心の中にある王様のお墓である宣政陵、ノ・チョンミョン生家跡、京畿道・光明のキ・ヒョンド文学館、安東のイ・ユクサ文学館、康津の茶山・丁若鏞記念館、世界遺産の水原華城、済州の馬羅島まで、詩人でもある著者が春から冬まで季節ごとに行ってきた21カ所の多彩な旅先の物語が写真とともに綴られています。タイトルのように、この本を片手に紹介された場所を訪れてみるのはいかがでしょうか。著者キム・チャジュンさんの4編の詩にも出会えます。

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★山口店長★おすすめのYA小説

『얼음이 빛나는 순간(氷が輝く瞬間)』

『アロハ、私のママたち』など、韓国YA文学の先駆者であるイ・グミさんの長編小説。 同じ全寮制高校に入学し偶然出会った二人の少年ジオとソクジュ。卒業以来、疎遠になっていた二人が数年後に再会を果たします。待ち合わせの場所へ向かう二人の過程が、それぞれの視点・時間軸(ジオは現在→過去へ、ソクジュは過去→現在へ)で章ごとに交互に織り込まれ、まるで電車のダイヤグラムのように物語が進行していく構成がおもしろく、美しいです。人生のすべての瞬間は偶然でできていて、その偶然と偶然を“選択”で結んで作り上げられる自分の人生。失敗することや後悔することもあるけれど、傷ついたり挫折を経験したその分人生は輝くのだから、恐れず人生と向き合って一生懸命に生きよう、と勇気づけられる作品です。

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★かな店長★おすすめのエッセイ

『백종원의 우리술(ペク・ジョンウォンの韓国酒)』

韓国でもっとも有名な料理人といってもいいペク・ジョンウォンさん。韓国酒の勉強をしてきたペクさんが、韓国酒の魅力を教えてくれる一冊です。普段から彼のレシピで韓国料理を作り、お酒も好きな私はすぐ手に取って読んでしまいました。 本の中では、韓国の各地にある韓国酒の醸造所とその商品が紹介されています。この本を片手に韓国中を旅行できたら楽しいだろうなぁ。韓国酒の種類や製法、おいしい飲み方や保管方法までさまざまな情報が掲載されていて、これ1冊で韓国酒の基礎知識が身につけられます。

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ミニコラム

<しみずの凸凹翻訳記>

#5 漢字語のわな

韓日翻訳をしていて注意すべきものの一つに「漢字語のわな」がある。同じ漢字が使われている単語でも、韓国語と日本語では意味が微妙に異なっていたり、まったく異なっていたりするのに、つい見逃して同じ漢字のまま置き換えてしまうのだ。

前者は、「도시(トシ、都市)」と「都会」、「겸손(キョムソン、謙遜)」と「謙虚」、「양복(ヤンボク、洋服)」と「背広」などだ。もちろん、도시は都市のままでいいこともあるし、겸손は謙遜のままでいいこともあるけれど、文脈によって都会、謙虚とした方が日本語としてしっくりくることがある。それなのに、何となく違和感を覚えつつもそのまま流してしまい、推敲のときにはっと気づいたり、編集者さんや校正者さんに指摘されて慌てて直すといった次第だ。

厄介なのが後者で、たとえば「등단(トゥンダン、登壇)」がその一つだ。「登壇」は、日本語だと「演説、講演のために壇に上がること」が一般的な定義だが、韓国語ではこれが「新聞社が主催する『新春文芸』に入選したり、文芸誌主催の文学賞を受賞して作家として正式にデビューすること」を意味する。新人賞を取ってデビューするというシステムは日本も似ているが、それを「登壇」とは言わない。

最近、この言葉について考えさせられる機会が立てつづけあった。一つは、いま翻訳している小説の一場面でのことで、登壇していなければ「文学をしている」とは言えないと考えるインタビュアーと、登壇していなくても10年以上にわたって散文やコラムを書きつづけてきた自分はすでに「文学をやっている」と自負する作家が出てくる。「登壇」ということにとても権威的なものが付与され、「非登壇」は主流ではないという見方が長年にわたってされてきた韓国の文学界に、若者らしいやり方でひょいと風穴を開けようとする姿が印象的なシーンだ。

韓国の文学界はいま変わりつつある。理由の一つはインターネットの発達や独立出版によって発表の場が増えたことだろう。そして、もう一つは、「非登壇作家」が世界的評価を受けたことではないかと思う。『鯨』(斎藤真理子訳、晶文社)を書いたチョン・ミョングァンさんはいわゆる「非登壇作家」だが、『鯨』は 2023年のブッカー国際賞の最終候補作に選ばれた。惜しくも受賞は逃したが、「登壇」と「非登壇」の垣根を壊すのに一役買っただろうということは想像に難くない。

韓国文学界の変化を示すこんな事例もある。最近、自らも非登壇詩人だというユン・ユナさんに聞いて知ったのだが、40年以上つづく伝統ある詩の文学賞「金洙暎(キム・スヨン)文学賞」を、2020年(イ・ギリさん)、2023年(パク・チャムセさん)と相次いで非登壇詩人が受賞したことだ。もちろん、それぞれの受賞作を収録した詩集『그 웃음을 나도 좋아해(その笑いが私も好き)』と『정신머리(精神)』(ああ、この「정신머리」は単独では翻訳が難しい……)もその後、金洙暎文学賞の主催者である民音社から刊行されていて、今後の活躍が楽しみなMZ世代の詩人だ。

そんなこんなで、「登壇」という言葉がしっかりと私の頭の中にインプットされた。今後、「등단」を「登壇」とそのまま訳し間違えることはたぶんなくなるだろうし、ひょっとすると、近いうちに「등단」という言葉が死語になって使われなくなる日が来るかもしれない。

※「登壇」「非登壇」ついて興味を持たれた方は、先日、チェッコリイベントでも取り上げられた『WORKSIGHT(ワークサイト)』21号に詳しく書かれているので、どうぞ読んでみてください。チョン・ミョングァンさんに関心を持たれた方は、クオンのインタビューシリーズ『韓国の小説家たち Ⅱ』もおすすめです。

(しみず)

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