CHEKCCORI通信 Vol.183【映画『成功したオタク』のオ・セヨン監督来日記念トークイベントをチェッコリでも!】

※このメールは、チェッコリからお送りしています。

2024.3.21

CHEKCCORI通信 Vol.183 http://www.chekccori.tokyo/


ごあいさつ

桜の季節ですね。今年は久しぶりに、本格的なお花見を予定されている方も多いのではないでしょうか。 チェッコリ近辺は、千鳥ヶ淵や靖国神社をはじめとした桜の名所がたくさんあって、毎年「千代田のさくらまつり」が開かれています。それに合わせて「春の古本まつり」も開催されますので、週末はぜひ神保町に足を運んでください。 https://visit-chiyoda.tokyo/sakura/ https://jimbou.info/news/20240305.html

チェッコリ店内でもお買い得な古本をご用意してお待ちしています。
(しみず)
お知らせ

いわいあや写真展「はじめての済州、それから」開催

雑誌、広告、映像制作を中心に活動するいわいあやさん。彼女が初めて訪ねた韓国・済州で撮影した作品を中心に約30点を展示します。

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イラストレーター バン・ジスCollection 特別販売 明日まで

『不便なコンビニ』『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』の装丁画を描いたイラストレーター、バン・ジスさんの来日を記念して、選べる2冊セット(サイン入りポストカード付き)を特別価格で販売します。

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CHEKCCORI BOOK倶楽部、リニューアルします!

月に1冊ずつ、6か月にわたり韓国語原書をお届けする選書サービス「CHEKCCORI BOOK倶楽部」。このBOOK倶楽部が第3期から「初心者」班と「作家を深掘り」班の2つになって、より多彩に展開します。第3期の募集は4月1日から30日まで。

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2024年5月期の翻訳スクール受講生募集中

5月開講の翻訳スクールの募集が始まりました。一部定員に達したクラスもありますので、ご希望の方はどうぞお早めに。Xの専用アカウント(@chekhonyaku)も新設しましたので、フォローをお願いします。

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営業時間の変更について

店内でのイベント開催のため、下記のとおり営業時間を変更いたします。ご来店の際、お間違えのないようお願いいたします。 3月22日(金)12時~18時 3月27日(水)12時~18時 3月28日(木)12時~18時 4月6日(土)11時~17時 4月12日(金)12時~18時

イベント情報
 

3月22日(金)19:00~20:30 【会場+オンライン】ベストセラーの表紙を描くイラストレーターはどんな本を読むのだろうか?

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3月27日(水)19:00~20:30 【会場開催】チェッコリ読書クラブ:テーマ本は『設計者』(キム・オンス著、オ・スンヨン訳)

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3月28日(木)19:00~20:00 【会場+オンライン】前夜祭緊急開催決定! 映画「成功したオタク」をもっと楽しむためのトークイベント

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4月6日(土)18:00~19:30  定員になりました 【会場開催】『翻訳に生きて死んで―――日本文学翻訳家の波乱万丈ライフ』刊行記念 クォン・ナミ×藤田麗子「翻訳家って、どんなお仕事ですか?」

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4月11日(木)19:00~20:00 【会場+オンライン】時事日本語学院顧問・金照雄さんが語る 「韓国で日本語教師になる条件と成功への道」

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4月12日(金)19:00~20:00 【会場開催】好きな詩を朗読しませんか? 詩の朗読会-英語、韓国語、日本語、どんな言語でもOK!

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クオンのおすすめ

CUON韓国文学の名作 006『幼年の庭』先行発売中

『幼年の庭』の著者の呉貞姫(オ・ジョンヒ)さんは、現在活躍している作家たちから「影響を受けた作家」として名前が挙がることの多い作家です。『僕のルーマニア語の授業』の著者チャン・ウンジンさんに好きな作家を訊いたときにも、「短編小説の教科書と呼ばれるオ・ジョンヒ先生が好きです」とおっしゃっていました。 『幼年の庭』には、朝鮮戦争を体験した著者の幼少期が反映されたものから、三十代の内面の記録ともいえるものまで、繊細で詩的な文章で描き出された中・短編8作が収録されています。 3月25日の刊行に先立ってCHEKCCORIでは先行発売中。今なら、数に限りはありますが、翻訳者・清水知佐子さんのサイン本もあります!

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文学で触れる<済州島4・3事件>

「虐殺の島の歴史。四・三は半世紀のあいだ地上から抹殺されてきた。四・三? そんなものはなかった。あれはパルゲンイ(アカ)のでっち上げの嘘だ、と。外と内からの、記憶の他殺、権力への恐怖による島民らの記憶の自殺。記憶のないところに歴史はない。歴史のないところに人間は存在しない」 (金石範「消された孤独」より、『満月の下の赤い海』所収) もうじき、済州島4・3事件から76年を迎えます。 その<4・3>について、語ることや悲しむことすらタブー視されていた頃から書き続けてきた金石範さん。書き続けてきた背景には、犠牲者たちの記憶をもとに戻さなければという気持ちがあったと対談で語っています。 クオンでは金石範さんの初期代表作を集めた『新編 鴉の死』と、2017~2022年に発表された作品を収録した『満月の下の赤い海』を刊行しています。どちらの本にも、小説だけでなく、作品世界をより深く理解できる対談が収録されています。

『満月の下の赤い海』を購入する 『新編 鴉の死』を購入する
店長のおすすめ本
 

★きむ店主★おすすめのエッセイ集

『너는 다시 외로워질 것이다(あなたはまた寂しくなるだろう)』

韓国の障害者学校で起きていた生徒への性的虐待を描いた小説『トガニ』(映画『トガニ 幼き瞳の告発』の原作)など、社会のイシューをテーマに作品を書くコン・ジヨンさんの新作エッセイ集。政治・社会問題に積極的に発言してきた著者はある政治家との一件があってからソウルの家を売り、椿の花がきれいな慶尚南道・河東に引っ越した。犬を一匹保護してトンベク(ツバキ)という名前を付け、コンという自分の姓を合わせて「娘」にしたという話はまるで、著者が女性として生きてきた韓国という社会の縮図のようだ。3度の結婚で姓が異なる子どもたちがいるが、コンという姓は付けられなかったからだ。周りにいつも人が多かった人気作家が田舎に引っ込んで自分を孤立させて書いた文章からは絶望、そして燃え尽きた魂が少しずつ生気を取り戻していく過程が見て取れる。イスラエルの旅行記と河東での生活談を交差させながらキリストの人生と自分の疲れた心を対比させているのも面白い。最後の最後に出てくる『土地』の著者、朴景利さんとのエピソードで私は一気にやる気が出てきた(クオンは今秋、全20巻の『土地』を完訳予定)。彼女はなんと、『土地』を6回も読んだという。全20巻を担いで河東に行こう。
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★山口店長★おすすめの小説

『일주일의 세계(一週間の世界)』

『ワタリガニの墓 韓国現代短編選』(CUON)に収められている「プラザホテル」で知られる著者キム・ミウォルさんの小説。 この物語は、ある月曜日の通勤途中に横断歩道で信号待ちをしていた主人公が、見ず知らずの女から急に頭を叩かれたことからはじまります。マフラーで顔がよく見えず、正体不明のその女は誰なのか、なにかその女から恨みを買うようなことを自分がしたのだろうかと考えるうちに幼い頃の友だちのことを思い出します。クラスでいじめられていたその子をかわいそうに思って仲良くなったものの、結局ひどいことをして傷つけてしまった過去。あれは友情ではなくただの憐憫だったのでは? もしかしたらいま付き合っている相手も愛情ではなく憐憫なのかもしれない、と懐疑しはじめます。月曜日の小さな事件によって心の奥底に眠っていた記憶を呼び起こされた主人公の一週間の心の動きが、現在と過去を行き来しながら立体的に描かれています。
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★かな店長★おすすめのエッセイ集

『나는 행복한 푸바오 할부지입니다(私は幸せなフーバオのお爺さんです)』

韓国で初めて人工繁殖で誕生した、パンダの「福宝(フーバオ)」。エバーランド動物園で飼育員に愛情たっぷりに育てられました。パンダは中国から貸与されているので、繁殖期になると中国に行ってしまいます。フーバオが中国に行った時に困らないように飼育員は中国語で声をかけたりもしました。そんなふうに愛情たっぷりにフーバオを育てた飼育員のカン・チョロンさんが書いた本です。ジャイアントパンダとの出会いから、フーバオの誕生、成長を見守ってきた温かな眼差しが感じられる本です。
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★店長のおすすめのバックナンバーの一部は、YouTubeでもご覧になれます★

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ミニコラム

<スタッフさわだの、子どもと韓国書籍の間で>

#5 「正解」探しの読書から抜け出す

チェッコリで働き始めて4年半。ずっと続けているはずなのに、いつまでも簡単ではないと感じることがある。それがこのCHEKCCORI通信に掲載する「おすすめ本」の紹介文を書くことだ。誰かに読んでもらうから、何かを伝えようとするから難しいのかといえば、そうとも限らない。私は長年、自分のために本の感想や読んだ記録を残すこと自体にも苦戦している。 小学生の時から読書感想文が苦手だった。大抵はコンクールに出すことを前提に課される夏休みの宿題。興味のあるなしに関わらず、指定された課題図書を読むことを楽しめなかったのもあるが、本の要点を正確につかんで、著者の思いを正しく理解して書くのが読書感想文だと捉えていたのだと思う。国語のテストのように「正解」を見つけようとしたり、同時に、人とは違う視点や「自分ならではの気の利いた感想」をどうにか組み込もうとしたりして、うまくいかなかった。 大人になり、今度は誰に課されたわけでもなく、本の感想を記録する読書ノートを作ってみたくなった時。読書感想文を書く時に感じていた「正解」を見つけて「上手に」書かねばという意識が、久しぶりに顔を出した。私の読み方、理解は正しいのかな。「正解探し」から抜け出せない自分がいた。チェッコリで「おすすめ本」の紹介文を書く時もふと思う。筆者の主張は私のこの解釈であっているんだろうか、と。韓国語で書かれた本だから理解できているか余計に心配にもなる。やけに生真面目な性格で大変そうだと思われるかもしれないが、事実なのでしょうがない。本を読むって本当はもっと自由なはずなのに……。意識を変えて、もっと読書を心から楽しみたいと思った。 そんな私の横で、先日3歳になった子どもは、ひたすら大好きな電車の図鑑を開いて特急の名前を読み続けたり、絵本も好きな場面だけ繰り返し見たり。彼なりに本との付き合いを楽しんでいる。ある時、そんな様子を見て心の中で「もっとストーリーのある本を読んだほうが後々役に立つんじゃないかなあ」と思ってしまった自分にハッとした。インターネットや育児本で接する、子どもと本にまつわる記事には「読書が習慣になればその後の学習もスムーズだ」「絵本を◯歳までに◯冊読めばこんな効果がある」といった、読書が子どもにもたらすメリットがよく書いてある。そういう情報に接しながら、気づけば私は子どもの読書の効果や見返りに気を取られていたのかもしれない。ただ心向くままに本に向き合う子どもにも、危うく「楽しむ気持ち」を削ぐような声かけをしてしまうところだった。 もっと自由に、もっと楽しんで、好きなように本をめくって、読めばいい。自分の外側にある正解や「上手な」読み方を気にしたり、見返りを期待しながらの読書は、なんだか違うかもしれない。そう思えるようになった今のこの気持ちを、こうして残しておきたくなった。外国語である韓国語で書かれた本だって、読みたいタイトルや装丁に呼ばれるまま、もっと気ままに開いてみよう。全体を理解しきれなくても、見惚れたページ、気に入った文章が一つでもあれば、子どものように繰り返し味わってみたい。 自由に楽しく読めたあとには、感じたこと、思ったこともそのまま自分の言葉で残していきたい。これを読んでくださっているみなさんの中には、読書の記録を手帳やブログに楽しく自由に書いている人もきっとたくさんいるはず。私はまだ幼い子どもの世話であまり店には出られないが、いつかそんな読書の記録をたくさん見せてもらいながら、読書の話に花を咲かせてみたい。

(さわだ)

発行:CHEKCCORI(チェッコリ) http://www.chekccori.tokyo/ https://twitter.com/chekccori 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町 1-7-3三光堂ビル3F TEL:03-5244-5425 FAX:03-5244-5428 mail:info@chekccori.tokyo