CHEKCCORI通信 Vol.188【韓国語で働きたい人必見! 『韓国語セカイを生きる 韓国語セカイで生きる』刊行記念イベント 開催】

※このメールは、チェッコリからお送りしています。

2024.8.22

CHEKCCORI通信 Vol.188 http://www.chekccori.tokyo/


ごあいさつ

今年も8月が終わろうとしていますが、すてきな夏の思い出はできましたでしょうか。私は今年、少し特別な夏を韓国・原州で過ごしていて、毎日のように忘れられない思い出が積み重なっていきます(詳しくは、ミニコラムをご覧ください)。

そういえば、暑いばかりで心に残る出来事はなかったかもという方、どうぞチェッコリにお立ち寄りください。スタッフが心を込めてみなさんの夏の思い出づくりをお手伝いします。

(しみず)

お知らせ

「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」課題本販売中

「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」の課題作が収録された2冊を店頭およびオンラインショップで販売しています。お得な2冊セットもあります。

詳細はこちら 課題作の2冊のご購入はこちら

営業時間の変更について

店内でのイベント開催のため、下記のとおり営業時間を変更いたします。ご来店の際、お間違えのないようお願いいたします。

8月27日(火)12時~18時
8月29日(木)12時~18時
8月31日(土)11時~17時
9月5日(木)12時~18時
9月11日(水)12時~18時
9月25日(水)12時~18時

イベント情報


8月29日(木)19:00~20:00
【店内+オンライン】ささきの部屋Vol.35-前田エマさんに聞く-留学のこと、小説、そして次なるチャレンジは?

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8月31日(土)18:00~19:30
【オンライン】『韓国語セカイを生きる 韓国語セカイで生きる』刊行記念トークイベント「韓国語ではたらきたい!」外交官×記者×言語学者

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9月5日(木)19:00~20:00
【店内+オンライン】『クンムルなしでは始まらない!』の著者本田朋美さんに聞く韓国の「食」の基本、クンムルに大事なこと

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9月11日(水)19:00~20:00
【店内+オンライン】朝ドラ「虎に翼」の朝鮮学生考証を担当した崔誠姫さんに聞く、日帝時代の朝鮮人留学生

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9月16日(月・祝)14:00~16:00
【店内開催ワークショップ】第1回 韓流の記録と今の気持ちを残せる“韓流自分史”ミニブックを作ろう!

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9月25日(水)19:00~20:30
【店内開催】チェッコリ読書クラブ:テーマ本は『魔法少女はなぜ世界を救えなかったのか?』(ペク・ソルフィ、ホン・スミン 著、渡辺麻土香 訳)

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10月14日(月・祝)14:00~16:00
【店内開催ワークショップ】第2回 韓流の記録と今の気持ちを残せる“韓流自分史”ミニブックを作ろう!

お申込みはこちらから

クオンのおすすめ

ポエトリーツアーも好評:『泣いたって変わることは何もないだろうけれど』

8月1日から4日にかけてパク・ジュンさんのイベントが福岡・東京・大阪で開催されました。個々の作品や創作の過程について登壇者の方たちとじっくり語らう時間となり、どの会場でもパク・ジュンさんの言葉を次々と書き留めている方たちをたくさん見かけました。

またこの本の感想として、父親について書かれたエッセイが心に残ったという声もよく聞きます。イベントではこんなお話もありました。

「父は朝鮮戦争以前に生まれた人なので、父の話を書くとなるとそこには韓国の現代史が込められることになります。”現代史が込められる”と言っても、歴史的な記述として何か大きなことを書くということではなく、その時間を何の権力も持たない一人の人間がどうやって生きてきたのか、ということを込めることができるという意味です」

本からでもイベントアーカイブからでも、ぜひパク・ジュンさんの言葉に触れていただければと思います。

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ただいま制作中:『映画に導かれて暮らす韓国——違いを見つめ、楽しむ50のエッセイ』

「クオンの本のたね」で先行連載をしてきた成川彩さんのエッセイ集を、いよいよ今秋刊行します。

留学先の韓国で映画を学びながら日本と韓国の社会や文化の違いに直面し、歴史的な関係に想いをはせたり、さまざまな出会いに心動かされる様子が生き生きと描かれている等身大のエッセイ集です。

「韓国へ来る友人、知人を見ていると、日本と違う韓国に接した時、大きく二通りの反応が見られます。『え、日本と違う…』と引いてしまう人、『日本と違うね!』とおもしろがる人。私は後者でありたいと思います。なんで違うのか、その背景も知りたい。そういうことの積み重ねで、互いの理解が深まっていけばいいな、と願います。」 ――あとがきより


店長のおすすめ本


★しみず店長★おすすめの長編小説

『나의 천사(私の天使)』

2016年のデビュー以来、愛の美醜を描いてきたイ・ヒジュの新作。絶対的な美しさとその罠にかかった人々に焦点を当てた長編小説で、かつては「おもちゃ」や「セックスボット」などと呼ばれ、その美しさゆえに「天使」と呼ばれるようになったロボットが日常化した近未来がミステリーチックに描かれている。「天使の時代」の子供たちは完璧な美しさを知るにつれ、到底そんな美しさを手に入れることのできない自分に対する憎悪も深まっていく。美しさに囚われて自分を失ってしまった子供たちは、苦悩しながらいつかその闇が暴かれる日を待つ。その時、すべてを失うのは「天使の時代」を作ってきた大人たちなのか、子供たちなのか。誰かから押しつけられた美醜の枠からの解放は可能なのだろうか。ジャニーズのスキャンダルともオーバーラップする作品だ。

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★ジヨン店長★おすすめのアンソロジー小説

『소설, 한국을 말하다(小説、韓国を語る)』

2023年秋から2024年春にかけて、「物語」を通じて韓国社会を垣間見ようとした、文化日報の連載企画《小説、韓国を語る》が、アンソロジー小説として誕生した。韓国文学界で最も活躍する作家たちが、物価高騰、私教育、バーンアウト、中毒など「現代韓国社会」を反映するキーワードで書き下ろしたショートショート小説が収められている。ソン・ウォンピョン、ク・ビョンモ、チャン・ガンミョンをはじめとする21人の作家がそれぞれ選定したキーワードで韓国社会を多角的な視点から見つめたのがこの本の魅力。「事実は、ありのまま見せるよりも、物語として描かれた時により鮮明に浮かび上がる」という企画の狙いのように、短いながらも重厚でウィットに富んだ彼らの作品は、現代の韓国社会がどのような位置にあり、どの方向へ進もうとしているのか、そして、その道筋が私たちをどこに導くのかといった鋭い問いを投げかけている。

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★スタッフさわだ★おすすめの絵本

『나는 소고기입니다(私は牛肉です)』

「好奇心と感情をもつ生命、『牛』の短い一生の物語」。この帯文を見た瞬間ハッとしました。まるで牛に好奇心があるなんて知らなかったかのように。もちろん実際には知らなかったのではなく、生き物としての牛の心には長らく意識を向けていなかっただけ。肉を好んで日々おいしく食べながら。そんな申し訳ない気持ちになった私を、絵本の中の牛は責めるでもなく、優しい目で見つめてくるのです。牛を囲む風景も、牛の世話をする子どもの眼差しもあたたかい。けれど、描かれるのは淡々と番号がつけられ、「食肉」として育てられていく牛の現実です。牛と、牛を育てる人、牛を食べる人、牛を食べない人、牛肉を料理する人、提供する人。絵本を読み終わるまでの短い時間の間に、そんなあらゆる立場の心が目の前に立ち上がってきて、絡みあい、静かに胸が苦しくもなります。どんな主張も正解も押し付けず、深く考える時間だけをそっと与えてくれる絵本です。

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★宣伝広報担当ささき★おすすめの日本語で読める短編集

『その猫の名前は長い』

可愛らしいタイトル『その猫の名前は長い』に、ほのぼのとした作品をイメージしながら手に取ってビックリ! 何とも言えないほど切なく、時には苦しく、さまざまな感情を呼び起こす9編からなる短編小説集です。著者イ・ジュヘは、家庭にいながら英米文学の翻訳家となり、アドリエンヌ・リッチやエリザベス・ビショップらの作品を多く手掛け、2016年にチャンビ新人小説賞を受賞し作家活動を始めた方。その経験が作品の根底にも見られ、力強い小説を生み出しているようです。中でも1991年に起きたデモをモチーフにした自伝的小説と言える「水の中を歩く人たち」は、1990年代に入ってもまだまだ続いていた民主化運動の現場の緊張感と感情の揺れの表現にしびれました。力強くも繊細な韓国文学のまた新しい書き手に出会えたようです。

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ミニコラム

<しみずの凸凹翻訳記>

#6 原州通信――2024夏

8月8日から韓国・原州の土地文化館にある創作者のためのレジデンスに来ている。20巻に及ぶ大河小説『土地』を書いた作家、朴景利(1926~2008)が後進の作家たちのために設けた施設で、毎日の食事に加え、机やベッド、バスルームのある個室が提供される。

2015年の夏、『土地』の翻訳を始めるにあたり、作品の著作権所有者であり土地文化財団の理事長だった金玲珠さん(朴景利の長女、2019年12月に他界)を訪ねた。その時にこのレジデンスの存在を知り、それ以来ずっと、朴景利という偉大な作家の気配を感じながらここで翻訳作業をしてみたいと思っていた。10年近くにわたって進めてきたクオンの『完全版 土地』は9月に完訳予定だ。校正紙の確認もほぼ終盤だが、なんとかギリギリでその夢がかなった形だ。

メジ館、帰来館と呼ばれる2つの建物に計15人の収容が可能で、今は韓国の小説家、詩人、児童文学作家、絵本作家、映画・ドラマの脚本家、映像作家、作曲家らが滞在している。彼女たち(圧倒的に女性が多い)と一緒にごはんを食べたり、夕食後に散歩を楽しんだりしながらの生活はとても穏やかでゆったりとしていて、時には女学生の夏休みのようでもある。そして何より生活のリズムが規則正しく、仕事もはかどる。東京に戻ってからどうやってこれを維持するかがもっぱらの悩みだ。

土地文化館の中には、15年前にはなかったミュージアムもできている。朴景利が晩年を過ごした自邸を公開したもので一般鑑賞も可能なので、近くを訪れた際は立ち寄ってみてほしい。周辺には、そば粉で作った江原道の郷土料理マッククスの名店やおいしいコーヒーが飲めるカフェもある。

原州市内から車で30分ほどのところにあるこの施設は、自然も豊かだ。私の部屋からは青い空と緑豊かな山々が見渡せ、車もあまり通らないのでセミやコオロギ、鳥の鳴き声ぐらいしか聞こえない。夜にはキバノロの悲痛な鳴き声を聞いたという人もいる。私はまだ聞いていないけれど、いつか遭遇する日を楽しみにしている。

敷地内には畑が広がり、そこで栽培されたカボチャやナス、トウガラシ、エゴマの葉、スイカなどが毎日の食卓に上る。部屋から見下ろせるハス池には、沈清(古典小説『沈清伝』の主人公)が何人も飛び出してきそうなほどハスの葉が茂り、大きな花を咲かせている(この例えは、私の部屋の斜め向かいにいる絵本作家さんの表現を拝借した)。遊歩道として整備されている散歩コースは日々景色が違って見え、間近で見る山の尾根と谷のコントラストは迫力があって美しい。

チェッコリと縁のあるうれしい出会いもあった。今、滞在している作家さんの中に、詩×ウェブ漫画という新しいジャンルを開拓した『詩누이』の著者、싱고(シンゴ)さんがいたのだ。2017年に刊行された『詩누이』は、ぱく店長のおすすめ本として紹介したことがあり、チェッコリでも人気の本だ。韓国では高校の教科書にも掲載され、ベストセラーになっている。
https://chekccori-bookhouse.com/surl/P/9532

신미나(シン・ミナ)として詩も書いている彼女は、クオンがコロナの最中に刊行した詩集『月の光がクジラの背中を洗うとき――8カ国108名の詩人によるパンデミック時代の連歌』に作品を寄せた一人であることもわかった。『月の光が~』はすでに完売して入手困難になっているが、アノンブックスから出版された韓国語版『그 순간 문 열리는 소리가 났다』はチェッコリでも購入可能だ。신미나さんは来月、新しい詩集を出す予定だそうで、刊行されたらぜひみなさんにもご紹介したい。

ここには書き尽くせない宝物のような経験と思い出が毎日積み重なっていく。そんなエピソードの数々をいつかどこかでみなさんに読んでもらえる機会があればいいなと考えている。

(しみず)

発行:CHEKCCORI(チェッコリ)
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