CHEKCCORI通信 Vol.187【第8回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」の課題作が発表されました】
CHEKCCORI通信 Vol.187 http://www.chekccori.tokyo/
ごあいさつ
オープン9周年を記念して開催した「CHEKCCORIオリジナルブックカバー」デザインコンテストは、ポップでカラフルな「책(本)」の文字を全面にあしらったasuさんの作品が最優秀作品に選ばれました。
https://www.chekccori.tokyo/news/240705
早速、ブックカバーとして製作し、店頭で本をお買い上げの方に差し上げていますので、どうぞご来店ください。お待ちしています。
お知らせ
「手作り韓国餅」を毎月限定販売します
毎月第2週の木、金、土曜日に、韓国餅研究家・野原由美さんの「手作り韓国餅」を数量限定で販売します。8月分の詳細については追ってSNSなどでお知らせします。
詳細はこちら営業時間の変更について
店内でのイベント開催のため、下記のとおり営業時間を変更いたします。ご来店の際、お間違えのないようお願いいたします。
7月25日(木)12時~18時
8月1日(木)12時~18時
8月3日(土)11時~17時
イベント情報
7月25日(木)19:00~20:30
【店内+オンライン】崔盛旭×伊東順子初対談「韓国映画と大統領」
お申込みはこちらから
8月1日(木)19:00~20:00
【店内+オンライン】チョ・ナムジュのハイパーリアリズム小説『ソヨンドン物語』を翻訳者の古川綾子さんと読む
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8月3日(土)18:00~19:30
【店内+オンライン】『泣いたって変わることは何もないだろうけれど』刊行記念
パク・ジュン(詩人)×柴田葵(歌人)対談 「사랑(サラン)、愛、ラブ」
お申込みはこちらから
クオンのおすすめ
先行発売中:『生まれ変わっても化粧品だ アモーレパシフィック創業者・徐成煥ストーリー』
ETUDE HOUSEやinnisfreeなど数々のブランドを抱え、韓国を代表する化粧品会社アモーレパシフィック。その創業者・徐成煥さんの評伝『生まれ変わっても化粧品だ』を7月31日に刊行します。
困難を乗り越えて化粧品ブランド<アモーレ>を立ち上げ、韓国製化粧品が世界に進出する礎を築いていった徐成煥さんの生涯や”化粧品”を軸にみた韓国の社会の様子が年代を追って描かれており、読み応えのある一冊です。貴重な図版も多数掲載しています。翻訳は『詩人キム・ソヨン 一文字の辞典』を手掛けた「スーパー8」のお一人、バーチ美和さんです。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する韓国の茶文化に触れる:『緑茶耽美』
アモーレパシフィックの創業者・徐成煥さんがもう一つ心血を注いだのが、韓国の茶文化復興でした。韓国でも統一新羅時代から高麗時代にかけて茶文化が栄えていたものの衰退しており、緑茶は事業にならないと周囲が反対するなかで、事業ではなく文化の再創造だと周囲を説得し、緑茶の苗木を植えていきました。済州島に広がるアモーレパシフィックの茶畑のそばには、韓国初のお茶博物館も建てられています。
クオン人文社会シリーズの『緑茶耽美』は、日中韓3か国の茶文化を知ることができる一冊です。生活の中の茶を作り上げた中国、士人の文化としての伝統茶文化があった韓国、そして茶道文化という特有の伝統を作り上げた日本――人々の暮らしや芸術作品を通してその流れに迫ります。
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店長のおすすめ本
★店主きむ★おすすめの長編小説
『김섬과 박혜람(キム・ソムとパク・ヘラム)』
フランスで美術館の解説ガイドとして働き、愛する人と幸せな家庭を築こうとするパク・ヘラムと、ソウルでタトゥースタジオを運営するうちに、お客さんの消防士を愛するようになったキム・ソム。十数年暮らしたフランスを後にして帰国したパク・ヘラムは長年の友人でルームメイトだったキム・ソムのところに戻る。そんなパク・ヘラムにキム・ソムは、ずっと心に秘めていた本音を打ち明けてかつての親しさを取り戻すが、キム・ソムの恋愛事件によって2人の関係はぎくしゃくしてしまい、パク・ヘラムは再びキム・ソムの元を離れ、江原道・束草で小さなゲストハウスを運営しながら傷ついた心を癒やしていく。二人の女性の物語が韓国とフランスという二重の空間と文化を背景に繊細な筆致で描かれた本作は、2024年第20回世界文学賞を受賞。ソウル出張中に会った著者のイム・テクス氏は「人生でもっとも偉大なことは、誰かに出会って愛する気持ちが生まれることだ」と言った。今いちばん日本で紹介したい作家の一人だ。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する★山口店長★おすすめの長編小説
『영원한 저녁의 연인들(永遠の夜の恋人たち)』
SF短編小説「ルナ」で2022年韓国科学文学賞中短編部門大賞を受賞し登壇した作家、ソ・ユンビンさんが超高齢化社会の未来を描いた長編小説です。 脳に埋め込んだチップですべての出来事を記憶できるようになり、インプラント臓器により技術的に永遠の命が可能となった人々。忘れることもなく、死ぬこともないというのはいいことのように思えますが、忘れたいこともすべて記憶して生きていかなければならないという新たな苦しみが生まれます。また、莫大な費用がかかるインプラント臓器のサブスク更新のため、恋愛が金儲けの手段となってしまうのが皮肉でもあります。〈愛よりもまず生存が第一〉という社会の中で、主人公は真実の愛を見つけることができるのでしょうか。将来、本当にそんな未来が待っていそうな気もして、興味深く読みました。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する★かな店長★おすすめの児童書
『모모(モモ)』
日本でも長く親しまれているミヒャエル・エンデの『モモ』。幼い頃に読んでいたり、今も本棚に並んでいたりする。そんな人も多いのではないでしょうか。逆に読む機会を逃してしまい、実はまだ読んだことがない人もいるかもしれません。 ある街の廃墟に住みついた女の子・モモは不思議な力をもっています。モモに話した人は心がホッとするような温かい気持ちになれるのです。 しかし、平和な街に「灰色の男たち」が現れて、人々をだまして時間を奪っていきます。時間がなくなってしまった街の人たちは気持ちの余裕がなくなってしまいます。そこでモモが人々の時間を取り戻すために立ち上がります。 この本はせわしなく生きる現代の私たちに、時間の大切さを改めて考えるきっかけをくれます。児童書なので出てくる単語もやさしく、日本語訳の本も手に入れやすいので、日本語の訳と韓国語の訳を見比べるのも勉強になります。韓国語の本に慣れていない人にもおすすめです。
CHEKCCORI BOOK HOUSEで購入する★店長のおすすめのバックナンバーの一部は、YouTubeでもご覧になれます★
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ミニコラム
<ささきのイベント裏話>
♯6 さぁ、今日もまたチェッコリイベントが始まります
7月7日、無事に9周年を迎えたチェッコリ。私が担当するイベントも800回に迫ってきた。コロナ以降は企画するだけにとどまらず、そのほとんどを進行する役目も担っていて業務の中でのイベントの比重もとても大きいが、新しい出会いや感動を特等席で得られる特権もまた同じくらい享受している。
6月に開催した「韓国からやってきた絵本『おかあさん観察図鑑』に見る韓国の母親像」もそんなイベントの1つだった。
https://www.chekccori.tokyo/mc-events/general/224770?mc_id=1053
この絵本は赤ちゃんの視点から、新米「おかあさん」の実態を描き出したものだ。そのユーモアにあふれた、育児でヨレヨレの「おかあさん」のリアルな姿に思わず、うん十年前の自分を思い出し、愉快に読んでいた作品だったが、イベント当日、翻訳を担当したわたなべなおこさんの翻訳エピソードによって絵の背景に隠されたメッセージを知ることになり、本当に驚かされたのだ。
慣れない子育てでヨレヨレの「おかあさん」が持つ、オムツや哺乳瓶の入ったバッグの中には、ヴァージニア・ウルフの『自分ひとりの部屋』が入っていた。突っ伏してうたた寝する机の上には、『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』が置かれていた。このことが意味することとは? といった問いを投げかけてくれる作品でもあるのではということを教えられ、おお、こんな新鮮な視点があったのかとイベントの醍醐味を感じる時間となった。
先日のチェッコリ読書クラブで扱った課題本『千個の青』(チョン・ソンラン著、カン・バンファ訳)もまた、読書会イベントを企画したからこそ出会えた作品となった。刊行後すぐに手にしないと数々の本の出版スピードに押されて読むタイミングを逃してしまいがちになる。この本もまさにそんな一冊だったのだが、こうして課題作に選ばれたおかげで手に取ることができ、「これ読んで~!」と声高に話したくなるおすすめ本の一つになった。
こうしてイベントの一つ一つが私にとっては新しい出会いや発見につながり、みなさんと共有できるのは、何とも幸せなことだとあらためて思う。
「みなさん、こんばんは。チェッコリのイベントにようこそお越しくださいました」の一声から、さぁ、今日もまたチェッコリイベントが始まります。
発行:CHEKCCORI(チェッコリ)
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