CHEKCCORI通信 Vol.171【店主の復帰を祝って、”恋愛詩人”のイ・ビョンリュルさんが来日します】
CHEKCCORI通信 Vol.171 http://www.chekccori.tokyo/
ごあいさつ
アンニョンハセヨ!
街中がさくらの花で一段と明るくなりました。
自然に私も笑顔になります。
私事ですが、昨年の今頃から韓国でがん治療を始め、
すっかり元気になって先日、東京に戻ってきました。
闘病とはいえ丸1年、生まれ育ったところで休暇のように過ごせたのはみなさんの応援とチェッコリスタッフのおかげだと思います。
心から、ありがとうございます。
韓国ではたくさんの作家やアーティスト、書店店主たちにも会いました。
これから少しずつその縁を、日本で紹介していこうと思います。
早速4月1日には、詩人でもあり出版社を運営しているイ・ビョンリュルさんをお招きしてトークイベントを開くことにしました。
ビョンリュルさんは私の大学時代の先輩です。
20代の私たちは一緒に詩の勉強をしました。
詩人になった先輩にチェッコリで、韓国の詩の世界、文学の話を聞こうと思います。
今の季節にぴったりの、恋をテーマにした詩の朗読もします。
彼は恋愛の詩の名人でもあります。
みなさんも日本の恋の詩をもってきてビョンリュルさんに聞かせてください。
イベント詳細はこちら
お知らせ
韓国関連の古本大放出
「神保町さくらみちフェスティバル 春の古本まつり」に合わせて3月24日(金)、25日(土)の2日間、チェッコリ店内で韓国語・日本語の古本を販売します。
イベント情報
3月29日(水)19:00~20:30
【会場+オンライン】『月まで行こう』刊行記念-翻訳のこと、作家チャン・リュジンのこと
お申込みはこちらから
3月30日(木)19:00~20:30
【会場+オンライン】ささきの部屋 春の番外編
-ソン・ジョンスンさんと一緒に『아무튼, 드럼(とにかく、ドラム)』刊行を祝う―
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4月1日(土)18:00~19:30
【会場+オンライン】詩人李秉律 (イ・ビョンリュル)春の宵の朗読会
お申込みはこちらから
4月5日(水)19:00~20:00
【オンライン】私たちが語り合いたいこと! ~チョ・ナムジュ『私たちが記したもの』刊行記念読書会
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4月7日(金)19:00~20:30
【会場開催】『絶縁』からはじまるアジア文学 第二夜「華語文学」編 大久保洋子×及川茜
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4月14日(金)19:00~20:30
【会場+オンライン】『#発言する女性として生きるということ』著者チョン・ソヨンさん来日トークイベント
お申込みはこちらから
4月27日(木)19:00~20:00
【会場+オンライン】世界に進出する韓国語 いま最もパワフルな言語の実像とは?
お申込みはこちらから
CHEKCCORI selection
2023 #4 「私、○○始めました」
春はチャレンジの季節。転職、引っ越しのほか、習い事を始めたり、習慣や意識を変えてみようという人もいるかもしれません。でも、いざ始めてみるとなかなか長続きしない……。そんなときはやっぱり、何かを楽しく、根気よく続けている人の話に耳を傾けるのが一番! たとえジャンルが違っていても、読めば何かしら役に立つヒントが見つかるはずです。

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クオンのおすすめ
■第6回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」受賞作
3月31日からCHEKCCORIで先行発売
昨年秋に選考結果が発表されてからの5カ月間、最優秀賞のお二人は原文の改訂箇所を翻訳に反映し、編集者と相談しながら何度も訳文を推敲し、さらには訳者解説を書いては見直して…と、作品にとことん向き合ってきました。
その間、著者のお一人チャン・ウンジンさんは、ご自分の作品が初邦訳されるということもあり、「どんな色で日本の読者の皆さんの記憶に残るのだろうかと、3月がやって来るのをわくわくしながら待ちわびて」いたそうです。
ついに今春刊行となる2作品を、チェッコリでは3月末から先行発売します。
ただいまご予約受付中です!
韓国文学ショートショートシリーズ18
『火葬』金薫著、柳美佐訳
死の影が忍び寄る妻を看病する「私」の前で
「あなた」のあふれる生命力は
まばゆい光を放っていた
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韓国文学ショートショートシリーズ19
『僕のルーマニア語の授業』チャン・ウンジン著、須見春奈訳
秋のような瞳の君と
君のために翻訳するルーマニアの小説
それが僕の世界だった
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■『#発言する女性として生きるということ』著者来日イベント開催!
著者のチョン・ソヨンさんのトークイベントが、4月14日にCHEKCCORIで開催されます。
この本の感想を直接伝えながら、チョン・ソヨンさんと一緒に「発言する女性として生きるということ」について考えてみませんか? イベントチケットと本のセット申込みも可能です。
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イベントお申込みはこちらから
店長のおすすめ本
★しみず店長★おすすめの絵本
『모자의 숲(帽子の森)』
2023イタリア・ボローニャ国際絵本原画展の入選作で、著者は、グラフィックデザイン事務所兼一人出版社を運営しているキム・スンヨンさん。色鉛筆で描かれたような、ヨーロッパっぽい素朴な絵柄が印象的です。主人公は、本が大好きで記憶力はとてもいいのに、子どもの頃のことはまるで覚えていない一人の女性。つまらない毎日を送っていた女性はある日、近所の帽子屋さんで買った白い帽子に誘われるように、幼少時代の記憶が詰まった帽子の森へと入っていきます。そこで過去の自分と出会った女性は、自分がどれだけ特別な少女だったかを思い出し、毎日が前向きで明るいものに変化していきます。帽子好きの人、癒しを求める大人のみなさんに読んでほしい絵本です。
★ジヨン店長★おすすめの人文エッセイ
『서울 골목길 비밀정원(ソウルの路地のシークレットガーデン)』
造園学者のキム・インスが、ソウルの路地にある庭園の素朴で日常的な風景を温かい視線で描いた人文エッセイ。彼は長い間、大規模な再開発や新都市住宅事業などで消え続けるソウルの空間を文と写真で記録してきた。そして古い空き地、打ち捨てられた遊び場などにこっそり潜んでいた「シークレットガーデン」に目を向けた。雄大で華やかな庭園ではないが、ちょっとした植物を育てる小市民の思い出と哀歓、愛と喜びが込められた小さな庭園、シークレットガーデン。色とりどりの個性があふれる庭園の眺めと人々の話が繰り広げられる。
★スタッフさわだ★おすすめのエッセイ
『우리는 아름답게 어긋나지(私たちは美しくずれる)』
友人同士の翻訳家二人による往復書簡形式のエッセイ。英語と韓国語の間で生きる二人が、翻訳の過程で生じる悩みや喜びから、読者の反応への思い、翻訳料についての葛藤まで、手紙を通して打ち明けます。古風な雰囲気をまとわせるために漢字語の割合を調整したり、自身の子どもの発言やSNSから若者言葉や俗語を研究してみたり。作品により相応しい表現を求めて日々どんな試行錯誤をし、どんなアンテナを張って暮らしているかが伝わってきます。励まし合いながら深く語り合う二人の対話が美しく、優しい一冊です。
★宣伝広報担当ささき★おすすめの日本語で読める小説
『月まで行こう』
20代後半、会社勤めの女性3人。同期のいない3人の共通点は会社からの評価がいつも「まあまあ」だということ。そんなことから仲良くなった3人が、今の生活を変えようと仮想通貨世界に足を踏み入れ、その世界にのめり込んでいく。そのハラハラドキドキの展開にこちらまで手に汗握ってしまいそうに。なぜ仮想通貨に託すのか? 現実では変わる余地のない生活の反動なのか? 閉そく感たっぷりで、物価上昇が続き、生活にゆとりのなくなる今、この作品の爽快さがたまらない。思わず一緒に「月まで行こう」と声を上げたくなるはず。そんな読書体験もまた新鮮で面白い!
ミニコラム
<スタッフさわだの、子どもと韓国書籍の間で>
#3 コンテンツをつくるその先に
子どもを追いかけ、追われながら在宅ワークする生活も2年が過ぎた。自分のための時間はまだあまり取れないが、料理や掃除をしながら、耳だけで楽しめるコンテンツを聴くことが息抜きになっている。ラジオやポッドキャスト、最近ではVoicyなどの音声プラットフォームも、すっかり私の生活の一部になった。気楽にリスナーを楽しんではいるが、1年ほど前から音声コンテンツとの関係が変わってきた。配信する側にもなったのだ。
昨年の5月から、チェッコリ発の音声コンテンツとして、YouTubeとPodcastで「わたなべなおこのクリムチェクイヤギ」の配信を始めた。韓国絵本ナビゲーターで翻訳者のなおこさんが録音してくれた音声を毎月受け取り、番組の形に仕上げる。音声編集ソフトの機能を2割くらいしか活用できていない編集初心者だが、それでも、耳を傾けてくれる誰かの数分間が充実するようにと願いながら、試行錯誤している。
最新の第11回からは編集作業だけでなく、私もオープニングとエンディング用に声を録音することになった。おまけに今月からは、YouTubeで「店長のおすすめ本」を声で届けるコンテンツも始まった。私含め4人のスタッフが当メルマガで紹介している「おすすめ本」を、文章とはまた違う雰囲気や要素を織り込みつつ本人の声で届けるコンテンツだ。棒読みにならないようにと台本ではなく箇条書きのメモを読みながら話したのだが、2分で足りるところを8分も一人語りしていた(悲しい哉、同じ話の繰り返しと「えーと」で6分間はあっさり削れた)。ラジオで自然に聴こえる語りは、リスナーには見えない入念な準備、そして何より積み重なった経験があるのだと改めて感じた。
YouTube、SNS、そして音声コンテンツ。次々と現れる新しい媒体に振り回されそうになりながら、どうにか「活用する側」になろうと時間と労力をかける。そうやって音声の編集やSNS用の画像作成、短い文章作成と、細々したタスクを日々こなすのが私の「業務」だ。ただ、本来の私の「仕事」は何か?にも時々立ち返る。そうした小さな業務を積み重ね、あらゆる媒体を駆使したその先で、紙でできた「一冊の本」の存在を誰かに知ってもらうこと、手にとってもらうこと、なのだと思う。何よりシンプルな「一冊の本」が、実はほかのどの媒体よりも複雑で、広くて、深い世界に私たちを連れて行ってくれるはずだとも、信じている。
「子ども」とタイトルで謳っておきながら、今回はほとんど出てこなかったので、最後に少しだけ近況を。前回11月には韓国絵本を一緒に読み、楽しそうにオノマトペを真似してくれる話を書いた。最近はというと、日本語を徐々に理解し始めているせいか、絵本を開き韓国語で読むと「ヤイヤイ」(彼なりの「イヤイヤ」)、「バイバイ」(拒絶の意)と拒んだりするようになった。「ぼくにわかるように話してくれよう!」ということなのだろうか。言語は一つではなく、音も形もそれぞれ異なることを知らない子どもの脳内で、母国語と外国語がどう混ざったり分かれたりしているのか、とても気になっている。
発行:CHEKCCORI(チェッコリ)
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