CHEKCCORI通信 Vol.179【K-BOOKフェスティバル 2023 in Japanはいよいよ今週末!】

※このメールは、チェッコリからお送りしています。

2023.11.23

CHEKCCORI通信 Vol.179 http://www.chekccori.tokyo/


ごあいさつ

やっと秋が来た!という感じですね。

秋はセンチメンタルな気分になってしまいがちですが、そんなときに開きたくなるのが詩集ではないでしょうか。今回は、店長のおすすめ本にも、クオンのおすすめにも、そしてイベントにも詩がたっぷり。

どうぞ、詩のことばで悲しみに浸り、心を慰め、潤しながら、深まる秋をじっくり味わってみてください。
https://chekccori-bookhouse.com/category/%E8%A9%A9/37/

(しみず)

お知らせ

K-BOOKフェスティバル 2023 in Japanに出店

11月25日(土)と26日(日)は、「K-BOOKフェスティバル 2023 in Japan」に出店します。両日ともにチェッコリ店舗も営業しますので、どうぞ両方に足を運んでください!

特別営業日のご案内 K-BOOKフェスティバル詳細はこちら

営業時間の変更について

店内でのイベント開催のため、下記のとおり営業時間を変更いたします。ご来店の際、お間違えのないようお願いいたします。

11月29日(水)12時~18時
12月7日(木)12時~18時
12月19日(火)12時~18時

イベント情報


11月29日(水)19:00~20:00
【会場】詩人・文貞姫さんに聞く、詩を書くこと

お申込みはこちらから

12月7日(木)19:00~20:30
【会場+オンライン】韓国現代詩の最前線を行く
―ユーチューバー詩人ムン・ボヨンの柔らかな世界

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12月19日(火)19:00~20:30
【会場+オンライン】似ているようだけどやっぱり違う⁉
日韓の酒好き文化研究者が語り合う「日韓の飲酒文化」

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12月23日(土)13:30~16:30
【会場】詩の翻訳ワークショップ①:イ・ビョンニュル詩人に聞いてみよう!

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12月25日(月)19:00~21:00
【オンライン】詩の翻訳ワークショップ②:イ・ビョンニュル詩人に聞いてみよう!

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クオンのおすすめ

K-BOOKフェスティバル 2023「#こえる一冊」=セレクション韓・詩03『数学者の朝』

見えない場所、聞こえない声、いまだない言葉
語りえない物語のために


K-BOOKフェスティバルの開催が今週末に迫ってきました。クオンの「#こえる一冊」は、11月20日刊行の『数学者の朝』(キム・ソヨン著、姜信子訳)です。キム・ソヨンさんは『詩人キム・ソヨン 一文字の辞典』の著者でもあります。
韓進自動車の労働者の闘争に寄り添って書かれた「主導者」、映画「詩人の恋」で朗読された「だから」など、49編を収録しています。11月25日(土)と26日(日)は会場の出版クラブビルにお越しいただき、ぜひ手に取ってみてください。
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また、刊行を記念し著者が来日します。九州と東京のイベント情報は下記よりご覧いただけます。
https://k-bookfes.com/information/poemtour/

K-BOOKフェスティバルでは11月25日(土)に登場。セレクション韓・詩02『僕には名前があった』の著者オ・ウンさんとともに出演します。ぜひお楽しみください。
https://k-bookfes.com/events/korean_poetry/

店長のおすすめ本


★店主きむ★おすすめの詩集

『바다는 잘 있습니다(海は元気です)』

愛に満ちた60余編の詩が収録された詩集「海は元気です」。恋に落ちたのね、2人の間係がなんだかギクシャクしてるな、アイゴ、2人が別れる決心をしている、ああ、どうしよう、別れてしまう、ひとりで時間を耐えているんだーー切ない気持ちがページのあちこちににじんでいます。愛することはいろいろ大変ですが、イ・ビョン二ョルさんのことばで自分の気持ちがちょっとずつ整えられる気がします。これこそ詩の力でしょうか。最後にある詩人のキム・ソヨンさんが書いた解説も必読。愛の「あざが体の外に忽然と出てしまう」ように慰められたと書いています。愛の傷をあざと表現するソヨンさんもソヨンさんですが、そのあざを丁寧に丁寧になでてくれるイ・ビョン二ョルさんがいて安心です。
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12月23日(土)と25日(月)にイ・ビョン二ョルさんと一緒に詩の翻訳ワークショップをすることにしました。詩の解釈について、ことば選びについて、翻訳家の吉川凪さんのコーディネートで進めます。私もご一緒しますので、みなさんもどうぞご参加ください。

●12月23日のオフラインワークショップ
https://www.chekccori.tokyo/mc-events/general/224032?mc_id=1011
●12月25日のオンラインワークショップ
https://www.chekccori.tokyo/mc-events/general/224034?mc_id=1013


★ノ店長★おすすめの詩画集

『오늘은 네가 꽃(今日は君が花)』

『花を見るように君を見る』のナ・テジュ詩人と『真夜中のちいさなようせい』のシン・ソンミ作家によるコラボ作品。 懐かしさ、愛、日常の中の発見、宝石をテーマとした60編の詩と付録で構成されています。小さくてか細いものに対する温かい視線と、詩と絵の言語に想像力が加わったストーリー。2人の芸術家が繰り広げる温かい感性、ジーンとして切ない気持ち、時にはクスクスと笑いも出る独特のユーモアで童話の世界に陥ったような気分を味わえます。いろんなシーンの韓服姿はパラパラめくるだけで気分転換になリます。そばに置いておいて疲れた時に読みたい詩集。シン作家の原画についてのエピソードも面白いので、どうぞお見逃しなく。

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★山口店長★おすすめの短編集

『인어의 걸음마(人魚の第一歩)』

4人の作家によるSF短編集です。SFですが宇宙や異次元の空想物語というよりは、わたしたちの生きている社会をテーマとしています。 足が不自由な子、父親がいない子、精神だけが存在する人、目が見えない人(実は宇宙人)、上下あべこべの人魚、記憶障害のある人。4編の作品の中には様々な人物が登場します。まわりのみんなと違うことで好奇の目で見られ「かわいそう」と思われがちな彼らは、はたしてみんなより不幸なのでしょうか。ずっと先の未来、今とはまったく基準がひっくり返り、障がい/非障がいの境界が崩れた世界が描かれていて、何を基準に「障がい」というのか、そもそも「正常」な状態とは何なのかを問いかける作品です。

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★かな店長★おすすめのイラストエッセイ

『글멍-글 쓰는 멍멍이(物書きワンちゃん)』

「愛犬のムンゲが文章を書いたとしたら」という視点で描かれているイラストエッセイです。これまでは自分の視点で感じたことを書いてきた著者が、文章を書ける愛犬の目線で日常を描きます。著者が一番気を付けたのは、ムンゲを擬人化しすぎないこと。いろいろなことを考えるけれどもあえて言葉にしない、犬のステキな部分をうまく表現できるように心がけたそうです。1ページにムンゲのイラストと、ムンゲの想いや感じたことが一言でつづられています。シンプルなイラストなのに、モフモフとした犬の毛並みが伝わってくるのが不思議です。私も猫と暮らしているので、「うちの子も文章を書いてくれたらなぁ」と思いながら、温かな気持ちでページをめくりました。犬や猫が好きな方、一緒に暮らしている方におすすめします。

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★店長のおすすめのバックナンバーの一部は、YouTubeでもご覧になれます★

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ミニコラム

<店長かなの、日韓ミックスから見た韓国>

#1 小2・小1の姉妹が、親不在で言葉の通じない韓国で1ヶ月過ごした話

はじめまして!今年4月から金曜の店長をしている久保佳那(くぼかな)です。私は父が韓国人、母が日本人の日韓ミックスです。日本の大学院に留学していた父が日本人の母と出会い、そのまま日本で結婚して私が生まれました。

高校までは父の姓である「金」を名乗り、大学から母方の姓である「久保」を名乗っています。元々は韓国籍で、帰化して現在は日本国籍になりました。自己認識としは「韓国系日本人」だと思っています(韓国3割、日本7割くらい)。

今回は、かなりさかのぼって小学1年生の夏休みのことをお話ししたいと思います。私と2年生の姉の2人で韓国に行き、父の実家がある釜山(から1時間ほどの田舎町)で1ヶ月過ごしたことがあります。韓国人の父はいずれ家族を連れて韓国に戻りたいと考えていたそうで、日本生まれ日本育ちの娘たちを、なるべく韓国に触れさせたかったようです。私と姉は父が運転する車で成田空港まで送ってもらい、航空会社のグランドホステスのお姉さんに預けられました。

釜山の空港に到着した私たちを迎えてくれたのは、父の従姉妹である「고모(コモ)」。고모は日本の我が家に5年ほど住んでいたことがあり、通訳の仕事をしていて日本語が話せます。なじみのある고모と出会っておしゃべりをしているうちに、父の実家に到着して当時は健在だった祖父・祖母と会いました。2人は日本にいた時期があり、日本語を少し話せます。私と姉は父の実家でひと夏を過ごすはずでした。

しかし……。「孫2人の面倒を見るのは大変だろう」と祖母の近くに住む父の弟夫婦が気をきかせて、私たちを自分たちの家に連れて帰ったのです。なお、この夫婦は日本語がまったくわかりません……。

ここから韓国語だらけの日々が始まりました。私と姉は韓国語の文字も読めず、もちろん会話もできません(父が日本語が堪能で母は韓国語が話せないので、我が家の「公用語」は日本語でした)。

そんな私たちの救世主となったのが、父の弟の奥さんである「숙모(スンモ)」。私たちにわかるように身振り手振りを加えながら、ずっと韓国語で話しかけてくれました。

たとえば「내일 수영장에 가자(明日はプールに行こう)!」と言って泳ぐジェスチャーをしたり、「안녕히 주무세요(おやすみなさい)」と眠る前の挨拶を教えてくれたり。「이것은 무엇입니까?(これは何ですか?)」という言葉を教えてもらった私たちは、従姉妹にこの質問を連発し、「신발(靴)」「연필(鉛筆)」など、モノの名前を学んでいきました。

そんな日々を過ごしていたら、1ヶ月があっという間に過ぎました。途中でホームシックになることもありましたが、私と姉にとっては今でも記憶に残る夏休みです。

コロナ前に韓国で숙모に会ったとき、改めて小1の夏の話をしました。「お世話になりました。言葉の通じない子どもたちの世話は大変だったと思う」と伝えると、숙모は笑っていました。「一番心配だったのは、韓国料理が口に合わなかったらどうしようかということ。でも、あなたたちはよく食べてよく寝ていたから何も心配はしていなかった」と。

韓国語をある程度理解できるようになった今でも、幼い私たちに韓国語で話しかけ続けてくれた숙모の言葉は、他の韓国人の言葉よりスッと理解できます。私に生きた韓国語を初めて教えてくれた先生は、間違いなく숙모です。

自分なら、まったく言葉の通じない子どもたちを預かれるだろうか。
大人になった今、숙모の器の大きさを改めて感じるのでした。

(かな)

発行:CHEKCCORI(チェッコリ)
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